「ユニ(UNI)」の鉛筆をご存知だろうか?
赤みがかった茶色のデザイン、格好いいプラスチックケース……筆者が子供の頃は憧れの鉛筆だった。あの頃は鉛筆といえばHBが主流であったが、いまの子供たちは柔らかくて濃い4B〜6Bが学校指定されているようだ。鉛筆にも流行廃りがある。

そのユニを製造・販売している三菱鉛筆 <7976> が史上最高値を更新した。年初からの上昇率は8%だ。オールド・エコノミーの代表といえる同社に一体何が起きているのだろうか。

三菱鉛筆の「営業利益率」はトヨタやソニーを上回る

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

バブル最盛期の1990年、三菱鉛筆は4000円の高値を付けた。2015年には6380円まで上昇し、25年ぶりの高値を更新。そして今年5月10日には6660円と過去最高値を塗り替えている。

三菱鉛筆は業績が安定しているほか利益率も高い。決して現段階では割安とは言えないが長期投資に最適な銘柄ではないか、と筆者は考えている。

ちなみに、同社の今期2017年12月期の売上予想は2%増の660億円、本業の利益を示す営業利益は12%増の110億円。鉛筆ビジネスが2桁の増益であり、収益力を示す営業利益率は17%に達する。トヨタ <7203> の今期の予想営業利益率は7%、ソニー <6758> は6%だ。日本を代表するような会社より三菱鉛筆の収益力は高いのだ。

三菱鉛筆の強み、進化を続ける筆記具

三菱鉛筆は決して新規事業で利益を積み上げているわけではない。本業でしっかり稼いでいるのだ。前期の売上構成比は96%が「筆記具及び筆記具周辺商品事業」、つまり大半が鉛筆とシャープペンシルといった筆記具である。

日本筆記具工業会の「筆記具統計」によると、2016年の筆記具の販売総額(輸出を含む)は約1640億円と前年比約3%増。過去5年で見ると26%も伸びている。パソコン、スマホの普及で文字を書く機会は間違いなく減っているが、それでも筆記具市場は拡大している。画期的な新商品の開発と高付加価値化で新しい市場を開拓しているからだ。

たとえば、2007年にはパイロットコーポレーション <7846> が消せるボールペン「フリクションボール」を発売。2010年には三菱鉛筆でも同様の「ユニボール ファントム」を売り出している。また、なめらかな書き味をウリにした三菱の油性ペン「ジェットストリーム」も話題を呼んだ。

そして、現在の筆記具市場で拡大しているのが「折れないシャープペンシル」だ。2008年に三菱鉛筆が発売した「クルトガ」は、筆記中に芯が回転することで折れにくく、常に芯先で書くことが可能で、高機能シャープペンとして新たなマーケットを切り拓いた。さらに、2014年にゼブラが発売した「デルガード」は、強い筆圧がかかると先端の金属部分が出てきて折れることを防ぐシャープペンシルとして登場した。

このように筆記具市場は、時代とともに進化を遂げている。先に述べたように画期的な新商品と高付加価値化が、筆記具市場の成長を後押しし、三菱鉛筆の好業績をもたらしている。

地球環境に配慮した筆記具づくりも

ところで、三菱鉛筆はインク増粘材としてCNF(セルロースナノファイバー)を活用しはじめた。CNFは植物繊維由来で、生産・廃棄に関して環境に優しい材質だ。文房具だけでなく、多分野で期待されている新素材で株式市場でも「CNF関連」が話題になることもあるくらいだ。

CNFは三菱鉛筆の収益を大きく底上げするものではない。しかし、いまの時代、単に利益を追求するだけではなく、地球環境に配慮し社会とともに発展するための前向きな姿勢を示すことが、企業価値を高めるうえでも大切な要素となっている。三菱鉛筆の地球環境に配慮した取り組みも、株式市場で多くの投資家に評価される一因となっているのだろう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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