日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています。そして、がんは長年にわたって日本人の死因第1位となっています。全身のあらゆる場所に発生する可能性があるがんについて、考えてみましょう。

健康だったはずの父がある日突然がんに!

father
(写真=PIXTA)

30代後半のFさん(男)は、妻と子ども2人の4人家族です。健康だったはずのお父さんが、ある日突然不調を訴えてがんと診断されました。お父さんの突然の闘病に、明日は我が身ではないかと、自分のことを考え始めました。

がん治療にかかる日数や治療費は?

がんの治療というとお金がかかるイメージがありますが、いったいどのくらい費用がかかるのでしょうか。

おおまかに考えて、薬代や手術代などの治療費のほか、入院中の食事、差額ベッド代などが必要になります。また、外来では投薬料や注射料などを通院のたびに支払うことになります。これらの費用は公的医療保険で一部まかなえるものと、患者が全額負担するものに分けられます。

公益社団法人全日本病院協会の2015年度(2016年1月〜3月)のデータによると、3割負担の治療費平均で、胃がんの場合約28万9,370円、直腸がんの場合27万9,916円、肺がんの場合20万8,325円、乳がんの場合23万1,532円かかるとしています。また、入院日数は胃がん15.2日、直腸がん12.5日、肺がん12.7日、乳がん10.8日となっています。

高額な治療費がかかると思われがちですが、健康保険には1ヵ月の治療費の自己負担額が一定金額を超えないように、高額療養費制度による自己負担上限が定められています。もちろんがんの治療費も高額療養費制度の対象になります。しかし、高額療養費制度の対象になるのは、あくまでも健康保険が適用されるものに限ります。

それでは、健康保険の対象にならない全額自己負担になるものには、何があるのでしょうか。

主なものとして差額ベッド代、入院時食事代、テレビ代、家族の交通費や食費、先進医療費、厚生労働省が承認していない治療法の費用や投薬代、衣類や快気祝いなどの雑費があげられます。

みんなはがん保険に入っている?

医療保険からも保障を受けることができますが、がんと診断されたときに大きな保障を受けることができるのががん保険です。お父さんが突然がんになったFさんは、がん保険を検討し始めます。

がん保険の加入率はどれ位なのでしょうか。公益財団法人生命保険文化センター「平成28年度生活保障に関する調査」によると、民間の生命保険会社やJA(農協)、県民共済・生協などで取り扱っているがん保険・がん特約の加入率は37.8%なっています。

公的補助はどれくらい助けてくれるか?

高額な治療費による経済的負担をできるだけ軽減するために、公的な補助を活用していきたいものです。代表的な補助として、高額療養費制度があげられます。

家計に対する医療費の自己負担が過重なものにならないよう、医療費の自己負担に限度額を設ける仕組みです。医療機関や薬局の窓口で支払った金額が一定額を超えた場合に、超えた金額が払い戻されます。

70歳未満、年収370万~約770万円の人を例にとってみると、100万円の医療費で窓口の3割負担が30万円かかる場合、21万2,570円が高額療養費として払い戻され、実際の自己負担額は8万7,430円となります。(厚生労働省ホームページより)

なお、所得によって自己負担限度額が異なっていることと、自己負担限度額はあくまでも1ヵ月単位である点は注意が必要です。

どこまで備えたらよいか

以上、高額療養費制度によって医療費の自己負担にも上限があるため、がんの治療といっても無限に治療費がかかるというものでもありません。

しかし、長引く治療や再発、闘病中の収入減に備えるため、あるいは高額な先進医療を受けるため等、もしがんにかかった場合に治療方法の選択肢や、治療環境の選択をするには、お金が必要になるので、がん保険に加入しておくことは大きな意味があるでしょう。貯蓄で対応できるか、個室を利用したいかなど、事情に応じて選択していきましょう。(提供: 保険見直しonline

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