インバウンド(訪日外国人観光客)需要が回復に転じている。大手百貨店の免税売上が上向いているほか、中古ブランド品店のコメ兵 <2780> も4月の売上が7カ月ぶりに増収に転じた。関連銘柄の見直しが加速する可能性がある。

インバウンド消費,化粧品
(写真=PIXTA)

インバウンド売上は、中国人の「爆買い」に代表される高額品消費の一服によって一時伸び悩んでいた。しかし、ここへきて底堅さをみせ、化粧品やブランド品の需要が持ち直している。訪日外客数も直近3月が同月として過去最高の221万人(前年同月比9.8%増)に拡大し、需要を下支えしている。

体験型のいわゆる「コト消費」の盛り上がりも、モノ消費に波及しているようだ。4月の免税売上が前年同月比22%増となったセレクトショップのユナイテッドアローズ <7606> では、「急増する外国人の花見客が店舗に流れてきた」と話す。コト消費と組み合わせた旅行ツアーも多いようだ。

コメ兵の4月売上は前年同月比4.3%増。「インバウンド需要が戻ってきた」といい、免税売上は同社も2割拡大した。在庫圧縮で収益性の高まる今3月期は、増益転換が見込まれる。家電量販店のラオックス <8202> も昨年後半から外国人向けの売上が回復している。百貨店の松屋 <8237> も4月売上は前年同月比4.0%増と1年2カ月ぶりの大きな伸びとなった。

19日には4月の訪日外客数が発表される。インバウンド需要の鈍化を背景に関連銘柄の株価反応は乏しくなっていたが、市場の注目度は再び高まりつつある。関連銘柄では、一大商圏の関西エリアでドラッグストアを展開するキリン堂ホールディングス <3194> に注目したい。観光客に人気の京都市で4月にオープンした新店舗では、初めて高級化粧品を取り扱う。株価は4月中旬を底に相場つきが変わっており、800円台後半の上値のフシ突破が有望だ。

このほか、ポーラ・オルビスホールディングス <4927> やコーセー <4922> などの化粧品大手や、菓子大手の寿スピリッツ(2222)なども狙い目。新興株では、インバウンド集客支援ビジネスのオロ <3983> も面白そうだ。(5月10日株式新聞掲載記事)

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