インバウンドの訪日外国人数は、16年度は2482万人の16%増となり過去最高を更新。外国人が日本で感動するもののひとつに「ウォシュレット」がある。日本で温水洗浄便座に感動した中国人などの富裕者層が望むため、世界の高級ホテルにもウォシュレットが採用され始めた。ウォシュレットの世界的な認知度は上がってきている。

欧米の高級ホテルでウォシュレット採用急増

TOTO
(画像=Webサイトより)

16年度のウォシュレット採用高級ホテル数は55件となり、10年度の12件から徐々に拡大してきている。全室採用ホテルは10年度にはなかったが、16年度には10件まで増えてきた。

英ロンドン・ブリッジ駅に三角錐状の超高層タワー「ザ・シャード」がオープンしたのは2012年。その高層階にあるファイブ・スターの「シャングリラ・ホテル・アト・ザ・シャード」は全室ウォシュレットを採用した。ニューヨークでは、日本人にも有名なキタノ・ニューヨークやマイアミでも新しいラグジュアリーホテル「ポルシェタワー」など、全室ウォシュレットを売りにするホテルが増えてきている。

どうしても海外でもウォシュレットが無くては嫌だという日本人も増えてきているが、ウェブでウォシュレット採用ホテルを検索すれば簡単に探すことが可能だ。

TOTOが史上最高の売り上げと営業利益を達成

TOTO <5332> が4月28日に発表した17年3月期の決算では、売上が1%増の5738億円、本業の収益を示す営業利益が5%増の485億円となった。派手な決算ではないが、売上と営業利益は過去最高を更新しており堅実な決算だった。

同社は言うまでもなくトイレやバスなど衛生陶器の最大手である。同社の業績は住宅着工戸数と連動性が高い。16年度の新設住宅着工は5.8%増の97万4000戸と伸びてはいる。もっとも、押し上げているのは節税対策のアパートなどの貸家需要で11.4%増だった。

一方、持ち家は2.6%増、分譲住宅は1.1%増と付加価値の高い衛生陶器を装備する住宅は伸び率が低い。住宅着工の絶対水準もバブル期には年間150万戸を超えており、デフレ期の2000年代前半でも100万戸を超えていた。

現状の水準は、底は打ったもののまだまだ高水準とは言えない。したがって、TOTOの史上最高の売り上げや営業利益を牽引しているのは海外市場である。

海外でウォシュレットが拡大期に

海外におけるウォシュレット販売台数の伸びがすごい。同社は12年度を100とした指数を開示しているが、16年度のウォシュレット販売指数は246となり、前年度比30%増加した。12年度からは4年で約2.5倍になっている。

TOTOの売上構成を見ると、日本の住設事業は1%増の4233億円で前期の売上構成比は74%。海外も1%増の1281億円で構成比は22%になる。海外が伸び悩んでいるように見えるが、円高の影響を除外すると実質は7%伸びている。やはり数量増を牽引しているのは海外だ。

海外は採算もよい。営業利益率は国内が6.9%、海外が18.2%となっている。営業利益ベースでは、日本の売上は291億円で構成比は60%、海外は233億円で48%となっている(赤字部門があるので両部門で100%を超える)。海外部門の利益貢献は大きい。

海外では、中国が632億円で49%を占め、アジア(中国を除く)が306億円で24%、米国が304億円で24%、欧州が37億円で3%だ。為替の影響を排除した現地通貨ベースでみたエリア毎の伸びは、中国が11%増、アジアが4%増、米国が4%増、欧州が3%増。

やはり伸びを牽引しているのは中国の伸びだ。中国だけでは販売台数ベースでは16年度は前年度比47%伸びている。中国はポテンシャルも大きく今後もTOTOの業績を牽引するドライバーになるだろう。

17年度も海外のウォシュレット販売台数は40%増を見込む

海外で売上増、知名度増とともに、ショールームの拡張・機能強化をすすめている。16年には、ニューヨークのショールームをマンハッタン中心部に移転、ベトナム初のホーチミンをオープンした。17年にはタイのバンコク新オフィス、サンフランシスコ体験型ショールームなどをオープンしている。海外の直営ショールームは14拠点にまで拡大した。衛生面だけでなく、節水効果が高いことも積極的にアピールしている。

今年度も海外の伸びで、全体の売上は4%増(現地通貨ベースで6%増)の5940億円、営業利益で5%増(現地通貨で9%増)の510億円を見込んでいる。売上利益ともに過去最高となる見込みだ。ウォッシュレットの販売台数は、17年度比40%増と前期の30%増からさらに加速する見込み。ウォシュレット指数では350になると見込んでいる。

世界でどこに行ってもウォシュレットがある時代がもうそこまで来ているかもしれない。(ZUU online 編集部)