日本郵政 <6178> が野村不動産ホールディングス <3231> を買収する検討を行っていると、複数の報道機関が報じた。野村不動産HDは不動産大手5社の一角に名を連ね、時価総額約3900億円の大企業である。日本郵政は保有不動産の活用に向け、ノウハウを持つ野村不動産HDに白羽の矢を立てた格好となる。

2兆円規模の保有不動産の活用へ

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(写真=PIXTA)

日本郵政と言えば、2015年5月に買収した豪物流最大手トール・ホールディングスにかかる4000億円の損失計上を4月に発表した事が記憶に新しい。5月15日に予定されている2017年3月期の決算発表では400億円の連結最終赤字を予定している。

日本郵政は15年11月に上場したものの政府の保有比率はまだ80%程度あり、政府保有比率が33%程度となるよう追加売出しを行う必要がある。売出しの規模は上場時の2倍以上の規模となり、市場への売出しをスムーズに行う為には、日本郵政の成長期待が高まる事が必要となる。

物流事業の次の手となるのが、保有不動産の活用を加速する戦略となるようだ。日本郵政の保有不動産は2兆円近くに上る。全国に2万以上ある郵便局の他、駅前の一等地にも多くの土地を所有する。東京駅や名古屋駅に「JPタワー」と呼ばれる賃貸高層ビルを建て、商業施設「KITTE」の運営も行っている。実績は少ないが住宅事業も手掛けている。こうした保有不動産を更に有効活用する為、野村不動産HDに目を付けたと見られる。

問題は資金面では無く、株主説得と企業文化?