少し投資に親しむと、「もっと利殖性を高められないかな?」「今後の世界経済はどんな動きになるのかな?」などと、次から次へと興味が出てくるかもしれません。「もっと豊かになりたい」は「もっと知りたい」の原動力にもなります。とらわれすぎなければ、こうした野心を持つのは大変素晴らしいことだと思います。
(本記事は、菅下清廣氏の著書『一生お金に困らない子どもを育てる45のルール』(PHP研究所 2016/3/19)の中から一部を抜粋・編集しています)
「当たり屋」につくレッスンをしておこう
それには、一にも二にも自分でもっと情報を集め、勉強していくことですが、手あたり次第に雑誌や本を手にするのは効率的ではありません。一番いいのは、「過去、予測が当たってきた人」の記事や本を読むことです。
そういう人を俗に〝当たり屋〟というのですが、自分が信頼できる〝当たり屋〟につくレッスンをしておくと、いざというときに有効な指針を得ることができます。
過去に多くの予想を的中させてきた人は、当然、今後も当たる可能性が高いと見て間違いありません。
投資のプロである私にも、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏やピーター・タスカ氏など、「この人のコラムは必ず読む」と決めている人が何人かいます。
ためしに図書館に行って、株式投資関係の本を検索してみてください。膨大な冊数がヒットするはずですが、そのどれもが信頼に足るわけではありません。
過去に未来予測が書かれたものなら、「未来」はとうに来ています。つまり、すでに「結果」がわかっているわけですから、その正誤が、書き手の信頼性を測る目安になります。過去3年分くらいの株式投資関連の本を、「結果」に照らしあわせながらざっと目を通してみましょう。そこまですれば、誰の予想が当たって、誰の予想がはずれているか、だいたいわかるはずです。
そうしたら今度は、その人の直近の記事や著作を入手し、これからも、その人が書いたものを中心に読むようにすればいいのです。
その世界に精通したプロでなければ得られない情報、見抜けない動向があるのは当たり前です。投資の初心者が、証券会社の情報などを独自に分析し、予想を的中させるのは容易ではありません。そこで自分なりに「投資の指針を示してくれる人」を見つけておくことも、上達のコツなのです。
儲かっていても「こんな会社」には投資しない
まずは親が投資入門をしよう……ということで、ごく初歩的な投資の知識とハウツーをお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。投資は、とにかく「難しそう」「怖い」「ギャンブルみたい」と思われがちです。とくに、一般的にお金の教育を受けない日本人にとっては、「投資=どこか別世界で、自分とは別人種の人たちがやっていること」というイメージが根強いのではないでしょうか。
でも、投資は何も別世界で行なわれているのではない、むしろ自分の生活と切っても切り離せないお金を投じることで、経済を動かすという行為です。
そして、その一端を担うことは誰にでもできる。私にもできますし、もちろん、あなたにもできるのです。どんな企業に投資し、どれくらいの配当を得るか。どこで損切りや利食いをするか。今までお話ししてきたように、投資で失敗しないためには、それぞれに見極め方などのハウツーがあります。判断の精度を上げるためには、日ごろから情報収集を怠らず、知識を積み重ねることが欠かせません。
配当利回りの高い企業、増収を続けている企業、株価が上がっている企業、これから伸びそうな企業。これらが、投資先を選ぶ重要な目安であることはたしかです。
ただ、こうした知識・情報だけに従っているうちは、まだまだ初心者です。投資の本質を脇に置いた、お小遣い稼ぎのレベルです。
真の投資家は、企業の株価だけでなく、企業そのもののあり方を見ようとします。提供しているモノやサービスが、どれだけ世のため人のためになっているのか……。経営理念や企業モラル、社会貢献度から、企業の価値を測ります。ですから、自分から見て社会貢献度が低い企業や、むしろ害悪となるモノやサービスをスを提供している企業、すなわち伸びる企業といえます。したがって、社会貢献度の高い企業の株主は、もれなく、より豊かになれるというわけです。
さらに、投資によって得た豊かさを浪費しないためにも、「投資は道徳である」というのは、とても重要な意識です。つまり、株式投資を通じて、社会貢献度の高い企業を応援するという気持ちです。社会貢献度などそっちのけで、利回りだけで選んだ企業に投資した場合、そこで得た利益はしょせん「あぶく銭」と思えてしまうでしょう。
だから、やたらと株主優待のメリットを狙い、飲食関係の企業に偏って、昼食代をタダにするなど消費、浪費のことばかり考えた投資をするのは、あまりおすすめできません。
今の私たちの生活もまた、社会貢献度の高い企業によって成り立ってきたということを忘れてはいけません。トヨタやホンダ、ソニー、パナソニック……日本の経済史を紐解けば、世界的に知られる優良な日本企業は、立派な経営者がつくってきたことが浮かび上がってきます。そこに資金提供する投資家がいたからこそ、戦後日本は立ちなおり、豊かになってきました。
その延長線上に、私たちは今、立っています。投資とは、まさに、よりよい社会をつくるために連綿と続いてきた「徳の道」なのです。
今から投資を始めたいという方は、投資とは企業と一体となることであり、自分は投資を通じてその企業の事業に参加するんだ、と考えてみてください。こういう視点で考えてみると、どういう企業の株主になればいいかが浮かび上がってきます。
そこでまず見るべきは、経営者と経営理念です。どういう人物がトップに立って、どんな企業であろうとしているのか。そして、どういう事業モデルがあり、いかに世のため人のためになっているか。これらの点をも勘案し、重視すること。ここが、単なる金儲けの手段として投資をするか、それとも投資を通じて、よりよい世の中にしていく一端を担うか、ひいては本当に幸せ
菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「
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