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Written by 安東隆司 19記事

元プライベートバンカーが語る(18)

割れた歯は抜くしかない? 「インプラント」の前に考えたい手段

歯が割れる、裂けるという事態に遭遇した時に「抜くしかありませんね」という回答が通常の歯科医のコメントだろう。抜いてインプラントを導入する診療メニューはあるが、歯を残す方法については「ノウハウが無い」と患者には言えないからだ。しかし大事な歯を失う結論を出す前に専門家に聞いてみる選択肢もある。

筆者が資産アドバイザーとして担当する富裕層の方の中にも、「歯のケア」にとても敏感でセラミックの歯で審美性を高めている方が少なくない。

米国では歯間清掃のデンタルフロスは頻繁に使われ、「Floss or Die」(フロスをしますか? 歯周病で死にますか? )という言葉があるほどだ。平成16年国民健康・栄養調査結果によると、日本で抜歯後のインプラント装着は10.2%にのぼっている。

一方PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、歯科インプラント治療に関連する相談(注9)が2006年度以降の約5年間(2011年11月15日までの登録分)で2086件寄せられており、歯科治療に関する相談(13万60件)の16.0%を占めている。

インプラントは収益性が高いが技能不足も

インプラント,歯科医
(写真=PIXTA)

インプラント治療は歯科医師が、自由に治療費を決めることができるため高い収益が得られるという。NHKが全国の大学病院などを対象に行ったアンケートによるとインプラント治療後に、不具合を訴えて大学病院などを訪れた患者は2年半で2700人以上。その背景として最初に治療した歯科医師の技術や知識不足を挙げた大学は86%に上ったという。

さらに、難しいケースへの無理な治療を挙げた施設は76%に上り、技量を超えた無理な治療がトラブルの温床になっていることが明らかになったという。高い技術力のある歯科医に依頼することが極めて重要だと言える。

診療回数が多ければ歯科医の報酬が多くなる?

筆者が英国に留学していた時に受けた歯科の治療は衝撃だった。なんと、治療が1回で終了したのだ。

小学生の時期に日本で毎週通う歯医者では、いつまで経っても治療が終了せず、治療を挫折したのは1回では無い。そして虫歯で苦しんだ時にまた歯医者に行くという悪循環であった。大学時代に知人の歯科大生が言うには「日本の歯医者は下手なほど儲かる。何回もリピーターの様に通って貰い、保険の点数を稼ぐケースも多い。すぐに直すと、ある意味儲からない」歯科医の商売の一面を認識したエピソードだった。

また、別の歯科医にこんな事も聞いた。

「削ったり、抜いたりするのは極力避けて、普段から予防に注意すべきですね」

歯が割れてしまったら、抜くしかないのか?

そんな筆者も最近、歯が割れて「いよいよインプラントかな」という経験した。しかし筆者はインプラント治療に頼らず、できれば自分の歯を残したいと思っていた。自分では「歯が欠けたかな」という程度の印象であったが歯医者で診断を受けるまで重大な事態が起こっているとは思いもしなかった。

「歯が割れています。縦に裂けている状態です。深い所で割れていたら、抜歯しかないかもしれません。」行きつけの歯科医の診断にショックを受けた。筆者のケースは「歯根破折(しこんはせつ)」ということであった。

今までに経験してきた治療は、虫歯や歯が一部欠けた場合では歯根には影響が無かった。クラウンという被せもので覆ったり、プラスチック製のレジンという詰め物で治療すれば大丈夫だったのだ。

ところが今回は歯を歯ぐきに固定する歯根が壊れて割れてしまっているため、従来の方法では無理かも知れないとの診断だった。被せたり、詰めたりするにも、土台がダメかもしれないという事態だ。歯を失うという恐怖に悩まされた。

歯根破折が起こった時の選択肢

行きつけの歯科医が説明してくれた歯根破折の選択肢は以下であった。

  1. 抜歯してブリッジ(両横の歯2本の歯を削り、その2本で歯ぐきのない1本を含めて3本分の歯を支える。保険適用外であればある程度高額)
  2. 抜歯して部分入れ歯(両横の歯2本の歯ぐきに金属の輪を当て、歯ぐきが無い部分を支える。保険適用)
  3. 抜歯してインプラント(歯が抜けたあごの骨にチタンの土台を埋め込み、この上に人工の歯を装着する。保険適用外)
  4. 接着剤で固めて様子見
  5. 抜歯して割れた歯を接着剤でくっつけて元に戻す手術

患者想いの歯科医とインフォームド・コンセント

筆者は歯科医の初診では以下を説明し、互いに納得した上で治療を行って貰っている。英国で無駄の無い歯科治療を受けたことがあること、必要ない抜歯や削る治療や長引く治療を希望しないこと、予防に定期的にメンテナンスに通うこと。そしてもうひとつ重要なことが「インフォームド・コンセント」である。きちんと治療方針を説明してもらい、費用や治療方法を納得した上で進めたいと思うのだ。

行きつけの歯科医は良心的であり、「抜歯」という選択肢を一方的に押し付けることはしなかった。きちんとインフォームド・コンセントを実践してくれた。当初は「接着剤で留めて様子見」を筆者は選択。しかし長くは持たず、いよいよ重大な選択を強いられることになる。歯根破折の専門医を探し始めた。

歯根破折の専門の歯科医に手術を依頼するという選択肢

筆者が出した結論は「歯根破折の専門の歯科医に今回の手術を依頼する」だ。行きつけの歯科医は親身であるが、歯根破折の専門医では無い。このケースで自分の歯を守るためには、専門医に診てもらう必要がある。歯を抜歯しない選択肢があるならばその選択をしたいのだ。

結果として手術が失敗に終われば抜歯になる可能性もあり、その場合は手術費用が無駄になるリスクもある。しかし、筆者は自分の歯を残す可能性を選択し、手術を受けた。「抜歯して炎症を取り除き、接着剤で修復して抜いた場所に戻し、隣接の歯に固定して定着を図る」という方法だ。

1時間ほどで手術は完了。術後1カ月時点だが順調で今後の経過がどうなるのか、楽しみ半分、心配半分である。なお、筆者は歯科の専門家では無いので、これ以外の治療の選択肢や、本稿の表現の医学的な正確性について保障しない。またこの治療を勧めるものでは無く、良い結果を保証するものでも無い。本件に関する質問は辞退申し上げる。本稿は情報提供であり、自分の歯に対する判断は投資と同じく自己責任であることを明記しておく。

筆者の専門領域の遺言サポートや資産運用も、今回の歯科の専門医のケース同様にその分野に精通している専門家、それもきちんと今後の方針や経過、費用について説明を受け納得できる「インフォームド・コンセント」を得た上で進めるべきだと思う。

RIA JAPANおカネ学株式会社代表取締役。CFP®ファイナンシャル・プランナー、元プライベート・バンカー。日米欧の銀行・証券・信託銀行に26年勤務後、独立。お客様サイドに立った助言を実践するためには高い手数料は弊害と考え、証券関連の手数料を受け取らない内閣総理大臣登録の「投資助言業」を経営。著書に「iDeCo おしえてあげる 1時間でわかる版

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