今3月期の企業の業績予想がほぼ出そろった。前週末12日までに計画を発表した金融セクターを除く東証1部各社の経常利益は、計34.7兆円(前期比4%増)に伸びる見通し。

決算期待銘柄
(写真=PIXTA)

全般的に収益拡大が期待される中、株式新聞では決算発表後の株価反応も加味し日本特殊陶業 <5334> 、タクマ <6013> 、TOWA <6315> の3銘柄を特選した。

特殊陶は自動車部品の点火プラグや、排ガスセンサーの大手。世界各地で新たな排ガス規制が導入され始め、排ガスセンサーの需要には追い風が吹いている。

今期の連結営業利益は534億円と前期比ほぼ横ばいにとどまる計画だが、為替前提は1ドル=105円、1ユーロ=115円と保守的。海外売上比率が高く、1円の円安は年間営業利益を対ドルの場合で7億円、対ユーロでは4億円押し上げるため、時価を踏まえた実態は増益方向にある。

前期に米国子会社の減損を実施し、潜在的な業績悪化リスクも後退。株価は上向きつつある52週移動平均線を足場に、長期で2015年高値3900円へ向けた足どりを強めそうだ。

ごみ焼却炉のタクマは12日の取引時間中に今3月期の業績予想を発表。営業減益を見通したことで、同日には株価が一時的に急落したが、週明け15日は切り返している。収益のベースとなる前期の受注高は前々期比9割増の1910億円と大きく、今期の利益見通し(連結営業利益90億円、前期比18%減)は極めて保守的とみられる。

同社を取り巻く需要は旺盛で、ごみ処理施設の改良工事や運転管理、バイオマス発電設備といった案件を着実に取り込んでいる。特にバイオマスプラントの前期末受注残の多くが今期の売上に計上される公算が大きい。昨年6月ボトムの上昇基調が今後も継続するだろう。

半導体の後工程製造装置を手掛けるTOWAを見直したい。11日に発表した今3月期の連結営業利益予想は40億円と前期比4.4%の小幅増にとどまる。株価はこれを嫌気する形で急落したが、一方で受注は堅調だ。

業績見通しが慎重なのは、前期に大型案件を獲得した反動を想定しているため。しかし、需要は依然旺盛で、下期に向けては新製品の売上も計上される可能性がある。新たな半導体の実装技術として注目される「FO(ファンアウト)WLP」にも対応可能であり、低コストを実現したことから、受注前の引き合い段階でも高評価を得ているもよう。

2015年には韓国サムスン電子グループから半導体製造装置事業を買収したが、今後は保守・メンテナンスの領域にも力を入れる。株価は26週移動平均線付近で下げ渋る動きから、出直り歩調を強めそうだ。(5月18日株式新聞掲載記事)

>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も

【関連株式ニュース】
自動運転に必須?「3次元地図」関連に注目
やまびこ、中国売上5倍が視野?19年に売上30億円目指す
リクルートHDが反落、SMBC日興証は業績予想を上方修正
日清食HDが上場来高値、SMBC日興証は目標株価を6120円に引き上げ
大成建設が年初来高値 三菱UFJモルガン証、高収益局面にあるとコメント