前週(5/15~~5/19)の東京為替市場は、5週間ぶりに円高となった。19日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは111円48銭で終え、週間では2円14銭(1.9%)の円高だった。ドル円の高値(海外市場を含む)は113円85銭(5/15)、安値は110円25銭(5/18)。
14日に北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射した。世界的なサイバー攻撃による被害も拡がった。トランプ大統領のコミーFBIの解任から始まったトランプ大統領の情報リーク事件「ロシアゲート事件」は、捜査介入などシリアスな方向に進み始め、週の半ばには世界の金融市場は一転してリスクオフとなった。世界的に株式が大きく売られ、債券が買われ、ドルが売られ円高が進んだ。
前週(5/15~~5/19)の振り返り
15日の東京為替市場で円は反落。ドル円の17時のインターレートは113円65銭で引け、前週末比3銭の円安となった。
週末に北朝鮮のミサイル発射、世界的なサイバーアタックがあり、朝方は113円28銭と先週末比円高で始まり一時113円21銭をつけた。ただ、韓国株などアジア株はプラスであり、日本株も下げ幅を縮小するのをみながら円はほぼ前週末のレベルまで戻した。ロシアとサウジアラビアが原油減産延長に前向きとの報道で、時間外で米国10年債利回りが2.33%台に上昇し、ドル買い・円売りが強まったこともドルの戻りをサポートした。
16日の東京為替市場で円は反騰。ドル円の17時のインターレートは113円48銭で引け、前日比17銭の円高となった。
NYでナスダック指数、S&P500指数が史上最高値を更新。原油価格も減産が継続する見込みから反発し、ドル円は朝方一時113円77銭までの円安となったが、その後の上値は重く、日経平均も2万円を前に失速するのを見ながら正午過ぎには一時113円26銭まで軟化した。
17日の東京為替市場で円は大幅続伸。ドル円の17時のインターレートは112円45銭で引け、前日比1円03銭の円高となった。
米住宅指標悪化とロシアゲート事件でドル円は112円前半まで円高が進んだ。日本株にも円高を嫌気して利益確定売りが拡がり100円を超える下げとなったことも円高に拍車を掛けた。
18日の東京為替市場で円は大幅3日続伸。ドル円の17時のインターレートは110円92銭で引け、前日比1円53銭の円高となった。
ロシアゲート問題は、トランプ大統領が解任したFBIのコミー氏に対して捜査介入を指示したとの報道で、大統領弾劾まであり得る大問題にまで発展した。NYダウはリスクオフで300ドルを超す今年最大の下落となり、ドル円は一時4月25日以来の110円台まで急落した。日経平均も261円下げた。
ドル円は早朝のオセアニア市場で110円52銭まで下落したあと徐々に値を戻し、東京市場の朝方は111円台をつけ、午後には一時111円42銭まで回復したが、海外勢が参加する夕方には再び110円台まで売られた。
19日の東京為替市場で円は4日ぶりに反落。ドル円の17時のインターレートは111円48銭で引け、前日比56銭の円安となった。
前日のNYダウが反発したためロシアゲート懸念はやや後退。週末を迎えてドルにショートの買い戻し、自律反発を狙った買いなどが入り円安とはなったが、111円前半での一進一退の狭いレンジでの商いだった。
先週の海外動向を振り返る
19日の海外市場では、NYダウは141ドル高と続伸し、週間では91ドルの下落となった。トランプ大統領は19日、就任後初の外遊で中東・欧州に向かった。
今週は週を通じてトランプ大統領の外交のスケジュールが入っている。失地挽回から、外交面でポジティブな話題を打ち上げる可能性があり、ロシアゲート事件は一時的に和らぐとの思惑で株式にショートカバーが入った。
ただ、ロシアゲート事件の混迷度は深まっており、ドル円は東京時間の引けの111円前半から大きな動きはなく、111円30銭でNY時間を終えた。
「5/22~5/26」の為替展望
4週間にわたった円安のビッグトレンドが先週一服した。東京市場で円は5月11日まで12日連続で下げた。これほどの長期間の続落は、12年2月以来5年ぶりだった。大きなトレンドが反転したのだから常識的には再び円安に向かうなら日柄が必要だろう。
今週のドル円のメインシナリオは110円10銭から113円01銭レンジでの展開が想定している。
先週のドル円は、一目均衡表の転換点のある103円08銭をブレークし、113円ちょうど付近にある100日移動平均線や、112円81線にある一目均衡表の雲の上限をつぎつぎブレークし円高が走った。今週もボラティリティの高い展開が予想される。ドル円の安値は110円10銭にある21日移動平均線でサポートされている。高値は90日移動平均の113円01銭がレジスタンスだろうか。
先週発表となった米住宅着工など米国の経済指標は予想を下回るものも増えてきており、景況感の分かれるところだ。ただ、先週金曜日に発表された米フィラデルフィア連銀の5月の製造業景況指数は前月から大きく上昇。週間の米新規失業保険申請件数も市場予想を超えて減ったことで、6月14日のFOMCでの利上げ確率は7割程度とまだ利上げはコンセンサスとなっている。
ロシアゲート事件さえ落ち着くなら円安トレンドに戻る可能性もあるが、現状ではちょっと日柄が必要だろう。6月上旬に英国、フランスで総選挙が控えていることも機関投資家を慎重にさせる可能性がある。
今週のイベントは、トランプ大統領の外交が中心。20~21日サウジ。22~23日イスラエル、24日バチカン。25日にはベルギーでNATO首脳会談出席、26~27日にはイタリアでG7出席。イタリアでは日米首脳会談も予定されている。
25日からウィーンでOPEC総会が開催される。減産継続が確認されるかが注目だ。日本では22日に黒田日銀総裁の講演が予定されている。27日からはイスラム圏でラマダンがはじまる。この間、中東の投資家はおとなしくなると言われている。
欧州政治の季節がまた来る。6月8日には英国総選挙、6月11日と18日にはフランス議会総選挙がある。6月13~14日には米FOMCと6月前半には重要なイベントが控える。
今週の経済指標では、日本では22日の4月の貿易収支、26日の4月のCPI。海外では23日の米4月新築住宅販売、24日の米4月中古住宅販売、25日の米1QのGDP改定値、4月の耐久財受注が注目される。(ZUU online 編集部)
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