2017年1月から3月期の第1四半期、韓国で一度も就業したことのない20〜30代の失業者が9万5000人に達し、統計をとり始めた1997年以降で最多となった。2009年のリーマンショックによる不況時には3万5000人だった。
公式失業者の2倍に達する体感失業者
韓国統計庁の雇用動向資料によると、2017年第1四半期に大卒以上の失業者が54万3000人達した。全失業者116万7000人の46.5%を占め、就職や求職活動を行っていない大卒以上の高学歴者は352万8000人に達した。
統計庁が公開した2017年3月の公式な若者失業率は11.3%だったが、体感失業率は24.0%と公式失業率の2倍に達している。体感失業率とは、直近一カ月間に就職活動を行った公式失業者に、アルバイトを転々しながら正社員就業を求めている人や就職試験・公務員試験等の準備をしている人など潜在的な就職希望者を含めたデータである。職探しをあきらめた求職断念者を含めると若者の失業率はさらに高くなるとみられている。2017年4月の全年齢層の失業率は4.2%で、体感失業率は11.2%となっており、若者の失業率が際立っている。
年齢が上昇する就業者
現代経済研究院が2017年5月7日に発表した報告書によると、全産業就業者の平均年齢が上がっている。
全産業就業者の平均年齢は2013年に40歳を越え、2015年には41.1歳となった。就業者の平均年齢は1995年から2010年まで5年ごとに1.2歳から1.4歳ずつ上昇しているが、2010年から2015年の5年間には2.1歳と加速度的な上昇が見られる。
全体の就業者のうち60歳以上が占める割合も1995年の2.2%から2015年には6.5%と3倍に増加している。50代の就業者も1995年の9.9%から2015年には18.2%と倍近くに増えている。40代も増えている一方で30代の就業者の割合は1995年の32.5%から2015年には29.8%に減少し、1995年に36.4%だった29歳以下の就業者割合は、2015年には18.0%と半分まで減少している。
産業別で見ると、農林漁業(45.1歳)と鉱業(49.2歳)などの第一産業と二次産業に加え、不動産賃貸業(54.6歳)や運輸業(46.9歳)、下水廃棄物(46.4歳)の平均年齢が高い。事業所の規模別では従業員30人以下の零細事業所ほど高齢化が進んでいる。5〜9人の事業場と10〜29人の事業所の就業者の平均年齢はそれぞれ42.1歳、42.3歳だった。
労働市場の38度線とは
若者失業者の増加と就業者の高齢化について、中央日報はエコー世代と定年延長の時期が重なったと指摘する。朝鮮戦争後の1955年から1963年に生まれたベビーブーマーの2世であるエコー世代が雇用年齢に達しており、2020年頃まで年平均20万人の若者が労働市場に出てくる見通しだ。一方で60歳定年制が義務付けられ、従業員300人以上の事業所等は2016年度から、300人未満の事業所は2017年からの施行となっている。若者を新規で採用する余裕がる企業は限られる。
韓国企業は新卒採用を敬遠する傾向がある。社員教育で得たスキルを武器に転職を繰り返す若者が多いのだ。転職は30代半ばまで繰り返され、再就職が困難となる40歳を前に定着する。定着年齢は北朝鮮との国境線になぞらえて、労働市場の38度線と皮肉をこめて呼ばれている。新卒を採用して育てず、他社でスキルを得た即戦力を採用する韓国企業が、就業経験のない若者の増加に拍車を掛けている。(佐々木和義、韓国在住CFP)
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