日経平均株価は5月16日、1万9998円49銭まで上昇し年初来高値を更新した。株価の更なる上昇が期待されたが、2万円の大台を目前に調整を強いられている。

米トランプ大統領がFBI(連邦捜査局)長官を電撃解任したことで不信感が高まり、米株式市場は5月17日、NYダウとナスダックともに大幅に下落した。それを受けた翌日の日経平均株価も5月18日、300円以上の下落を見せた。

投資の世界では、相場の急激な変動はつきものである。株価の更なる上昇を期待して株式を購入していた投資の中には、今回の株価下落の影響をモロに受けて損失を抱え、不安に感じる投資家もいるかもしれない。不測の事態で慌てないために、投資を考える水準として適当かどうかだ。株価水準を考える際に役に立つ、2つの視点を解説していこう。

(1)業績面からの分析

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(写真=PIXTA)

株価は日々、上昇と下落を繰り返している。理由もなく株価が日々動いているわけではなく、日本のみならず世界経済の動向や、企業業績等を反映して株価水準が決まる。

最近の株価動向を見る限りでは、米国のトランプ大統領が行う経済政策を期待して上昇してきた様子は否めない。FBI長官の解任に端を発したわけだが、今後の経済政策が株価の動向に影響を与える可能性が高い。

日本企業の業績という観点で考えた場合、企業業績は近年改善傾向にある。株価の割安、割高を図る指標として、PER(株価収益率/Price Earnings Ratio)がある。PERとは、企業の収益力と株価を比較することで、現在の株価が割高か割安かを分析する。PER=株価÷EPS(一株当たり利益)で求められる。

PERが高いほど株が買われているに(割高)、PERが低いほど株が売られている(割安)とされる。一般的な数字としては、10倍以下が割安、20倍以上が割高等とされているが、数字にこだわるのではなく、市場平均や同業種との比較、過去の業績推移や株価水準等と比較して分析を行う。

例えば、日本経済新聞が提供している株式欄では、日々の株式指標が公表されている。株価水準は常に一定なわけではなく、業績の変動とともに割安、割高の水準も変化する。企業業績が好調になれば、株価水準が変わらなければ割安になり、株価は適正水準まで上昇するというわけだ。常に、企業業績と株価水準の確認を行うことが大切になる。

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(2)株価動向の視点

株価は日々動いていて、上昇すれば下落する。株が上昇すれば買われすぎになり、株が売られれば売られすぎになる。見た目だけで買われすぎか売られすぎかを判断できなくはないが、株価チャートを活用して株価の水準を分析したい。株価の過熱感、つまり株価が買われ過ぎか売られ過ぎかを分析できる「オシレーター系のテクニカル指標」の活用だ。

オシレーター系のテクニカル指標としてはMACD(マックディー)やRSI(アールエスアイ)、RCI(アールシーアイ)、ストキャスティクス等が挙げられる。RSIの場合は数値が70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎという風に、株価が買われすぎ(もしくは売られすぎ)の水準がその株価チャートによって決められている。決められた水準当たりを、株を売るタイミングの一つとして判断したい。

株価チャートで分析を行ったからといって、売買タイミングがいつも正解だとは限らないが、株価チャートを利用しなければ株価の水準を勘でしか判断できない。相場の急変にあたふたして損失が発生する事態に陥る状況を未然に防ぐためにも、企業業績や世界経済の動向、そして株価チャートを利用して、投資に値する株価水準なのかを考えることが大切になるだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。

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