ニチイ学館 <9792> が今3月期に大幅な営業増益を見込むなど、介護大手の収益改善傾向が強まっている。国内のトレンド回復に加え、これから注目されるのが各社の海外展開だ。官民連携の協議会が立ち上がり、アジア地域への日本企業の進出やシステムの輸出を促進する。関連銘柄を探りたい。

介護関連銘柄
(写真=PIXTA)

ニチイ学館は前期の連結営業損益が42億円の黒字(前々期は8億円の赤字)に浮上した。日帰りで施設に通うデイサービスを中心に売上が伸びる中で、マネジメントの強化などで利益率も改善した。今期の営業利益は93億円(前期比2.2倍)と収益改善は加速する見通し。

介護事業の買収によって業界大手に浮上したsompoホールディングス <8630> も、施設の入居者数が増加に転じ、入居率も上向いている。今3月期の部門最終損益予想は黒字化が見込まれる。

関連企業の業績回復が進む一方で、見逃せないのが日本の介護を海外に持ち込む動きだ。アジアでは日本を上回るスピードで高齢化が進行し、医療や介護といった高齢者向けサービスの需要が急拡大している。中国では2035年にも関連市場が292兆円まで膨らむとの予測もあり、日本の介護各社にとって大きなビジネスチャンスが広がっている。

こうした中、日本企業のアジア地域への進出促進に向け、政府や企業が2月に設立したのが「国際・アジア健康構想協議会」だ。このほど第1回会合も開催され、官民連携で介護事業者の海外事業の安定、拡大をサポートする。

中国の介護事業で先行するニチイ学館は、人材養成からサービス提供までを一貫した管理システムの構築を進めてきたが、認知症向け施設や訪問介護にも乗り出す。今期の中国事業はまだ11億円の営業赤字見通しだが、前期(14億円の赤字)からは赤字幅が縮小、20年3月期には黒字に転じる見通しだ。

介護サービスを手掛けるケアサービス <2425> は中国で新たに合弁会社を設立し、北京を中心に展開する。物流大手のセンコーグループホールディングス <9069> も、中国企業と介護事業で提携する。

一方、高齢化に伴う人手不足の問題が深刻化する中、国内外で介護にロボットを導入する動きが強まっている。海外では、中国家電大手の美的集団は安川電機 <6506> と共同開発した医療・介護機器を中国市場に投入する。

フランスベッドホールディングス <7840> も認知症患者を対象とした介護用コミュニケーションロボットを販売する。セック <3741> やヒーハイスト精工 <6433> といった部品サプライヤーも注目される。

このほか、人材派遣や老人ホームのライク <2462> 、チャーム・ケア・コーポレーション <6062> 、介護用電動ベッドのプラッツ <7813> 、ヘルスケアプラットホームのインターネットインフィニティー <6545> なども関連銘柄として関心を集めそうだ。(5月25日株式新聞掲載記事)

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