6月に入り、夏のボーナス支給の時期が近づいてきた人も多いだろう。西日本シティ銀行が2017年4月に調査した消費者動向調査No.120「夏のボーナス使いみち調査」では、使いみち予定の1位が「貯蓄」で51.2%、2位が「旅行・レジャー」で43.9%、3位は「子どもの教育費」で32.9%となった(3つまでの複数回答)。
4位に入っているのが「生活費の補てん」で28.6%。毎月の収入でやりくりがつかない分をボーナスで補てんするのはありがちなこと。家計の健全度を高めたい場合は、まずこれを改善しよう。
貯まる人は半分以上を貯蓄に、貯まらない人は赤字の補填に
ボーナスは会社の業績によって金額が変動するし、最悪は出ない場合も想定される。毎月の赤字をボーナスで埋める生活を続け、ボーナスで払いきれない場合はアウトである。毎月の支出は、毎月の収入の範囲にとどめることを心掛けよう。
住宅ローン、自動車ローン、クレジットの返済(ボーナス払い)に充てる人も多い。ボーナスがいつまでもあてにできるものと限らないことを考えると、短期的な支払いである自動車やクレジット払いはまだ何とかなっても、住宅ローンの支払いは厳しくなる時期が来るかもしれない。
ボーナス払いの金額をできれば毎月の支払いに分散させて払うようにする、難しい場合は、ボーナス払いの金額の半分を毎月に分散させるなど、ローンの条件変更を銀行に申し出てみよう。
毎年の貯蓄額をそれなりに確保できている人は、例外なくボーナスもかなりの部分を貯めている。貯められる人はボーナスの半分以上、もしくはほぼ全額を貯蓄に回す。先行きの経済の不透明感を考えると、やはりボーナスの一部を貯蓄に回すことは大事だ。
将来をラクにするもの、楽しめるものに投資
さて、これ以降は、あえて何かを買ったり、投資したりすることを考えてみよう。
ボーナスで買いたいもの、払いたいものは、家電、洋服、旅行などが主流だ。しかし、どうせ活用するなら、賢く使い、賢く貯めたい人への提案を5つ。
1. 固定費が減らせるものにお金を使おう
固定費とは毎月発生する家賃、住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料などのことを指す。
ここを削ることが節約のポイントとなる。固定費は1度削ればその後ずっと縮小したままになるからだ。例えば、ボーナスで家の電球をLED電球に換える(初期投資をすれば電気代が下がる)、住宅ローンの借り換えを行う(保証料や手数料が必要だが総返済額は減る)、家賃の安いところに引っ越す(引っ越し費用、敷金・礼金などはかかる)、SIMフリー端末を買って格安SIMにする(通信費が下がる)、などだ。
固定費を削るために最初に若干の費用がかかるものは、なかなか毎月の家計からは出しにくい。ボーナスという元手のあるときに固定費の見直しをしてみよう。
2. まとめ払いでトクをしよう
年払いなど、まとめて払うと少しおトクになるものがある。生命保険の保険料やNHKの受信料などがそれだ。NHKの受信料は、12カ月前払いをすれば、1万3990円で、2カ月払いの2520円×6回=1万5120円より1130円おトク(地上契約で口座振替の場合)。保険料は保険の種類、契約内容、会社によって割引率が異なる。
まとめ払いできるタイミングで、ボーナスで払ってしまえば、月々の支出が減らせる。しかし、減った分は確実に貯蓄しておこう。そうやって貯蓄した分で次の年のまとめ払いをすれば、毎年ちょっとずつトクができる。
3. 投資&節税&楽しみをミックスで考える
ボーナスが手元にあるときに、一定額を「ふるさと納税」するのもおすすめだ。実質的な負担が2000円ですむ納税額の上限は、その人の所得や家族構成によって異なる。ふるさと納税のポータルサイトなどに試算してくれるシステムもあるので活用しよう。
最近はふるさと納税をした人への特典が制限されたり、縮小される傾向にあるが、やはり寄付先から産直品などが送られてくるのはうれしいものだ。ふるさと納税をする際には、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」を利用するか、自分で確定申告をする必要がある。そうしないと、所得税・住民税の節税につながらないから、要注意。
もうひとつは、株主優待がある株に投資すること。ボーナスで買える優待株を探してゲット。優待を得つつ、配当や値上がり益が狙えるのも楽しみ。10万~20万円から買える優待銘柄もある。
自分のためだけでなく、周りの人へもお金を使う
4. ボーナス期のキャンペーンを狙え!
利回りは低いが手堅いことで人気の個人向け国債。個人向け国債を取り扱う金融機関は、全国に1000社以上あるが、どこで買っても商品性は同じ。国債を購入するときは、現金やギフトカードなどがもらえる金融機関を選んでプラスアルファをゲット!
また、ネット銀行ではボーナス時期にネット定期などの金利を上げるキャンペーンを行うことが恒例になっている。定期預金の預け入れなども金利情報をキャッチして有利なところを選ぼう。
5. 周りの人へ感謝の気持ちを込めてプレゼント
ボーナスの使いみちというと、「働いた自分へのごほうび」ばかりを考えがちだが、ここは自分が日々に働けていることを家族や周りの人に感謝して、家族にもボーナスのおすそ分けを。妻や子ども、親などにちょっとしたものをプレゼントする。会社で部下がいる場合は、お菓子でも差し入れしよう。上司に感謝の気持ちを表してもいい。
こういうのは、効果を期待してやることではないが、ちょっとした気遣いで日常生活が気持ちよく送れたり、かげでサポートしてもらえたりする。
「ボーナスで自分の趣味のものばかり買っている夫って、妻はどうみているのかな?」と、妻側に視点を変えてみると、この重要度がわかるはず。
限りあるボーナスだが、何に使ったかわからないうちになくなる、というのではなく、できるだけ有意義な楽しい使い方を考えてみよう。
フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。主な執筆テーマは、マネー、子育て、住まい、働き方など。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。子どもを持つ保護者として、学童クラブの父母会活動、PTA活動に参加。「居場所づくり」がこれからのテーマ。