日経平均予想レンジ 19,835~20,239円
今週前半は米国株の上昇一服や109円台継続の為替相場が重しのほか、米英イベントやメジャーSQを控え先物主導の売りで、日経平均は3日続落から19,908円まで売り込まれた。週末にはリスクイベント通過や米国株の最高値更新、円安を好感して終値で2万円台を回復した。
海外の焦点
注目の重要イベントでは、8日のコミー前FBI長官の議会証言は、トランプ大統領が忠誠を求めたことが判明したが、市場では「違法な資金の流れが明らかになれば別だが、弾劾に至る程ではない」との見方から政治リスクを意識させることはなかった。むしろ、市場は政治にあまり反応しなくなっているようだ。
イギリスの議会下院の総選挙は、メイ首相はEUからの離脱方針を争点に政権基盤を強固にする狙いで解散に踏み切ったが、マニフェストの一部政策が不評だったことから出口調査では与党・保守党が議席数を減らし、単独過半数に届かない見通しが明らかになった。メイ首相の思惑が外れた形でEU離脱を進める首相にとって大きな打撃となり、EU離脱交渉への影響が懸念される。
一方、先週末発表の米5月雇用統計は失業率4.3%と前月から0.1ポイント改善し、FRBが模索する月内利上げを支える内容となった。就業者数は前月比13.8万人増と前月17.4万人増から伸びが鈍化した。平均時給は26.22ドルと前年同月比2.5%増加した。6/13-14は為替相場など市場に影響を与えやすいFOMCの開催が予定されている。6月利上げが市場予想通りの結果となれば、材料出尽くし感から円高、ドル安に振れる可能性が視野に入る。日本株にとっては米利上げ後は調整局面を迎えやすい傾向もあるため、投資家心理の冷え込みには留意してきたい。
国内の焦点
テクニカル面では、6/1、19,887円の窓を埋め切らず調整未了感は残るが、5日線(20,011円)を上回る陽線引けで調整一巡感が台頭した。過熱感が意識された25日騰落レシオが109.86(6/8)で調整が進んだ上、各移動平均線は右肩上がりで推移しているため、中長期的な上昇トレンドは崩れていない。
来週の株式相場
以上、来週はFOMCの開催を控えて様子見気分の強まりから膠着相場が想定される中、良好な国内景気を支えに再上昇への値固め局面と捉えている。日経平均のレンジは上値は6/2高値20,239円が意識され、下値は25日線19,835円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト