転職を成功させるためには、効果的な情報収集が肝心だ。だが、ほかの人と同じ方法では大きな効果は望めない。他人に差をつける方法の1つが、財務諸表の活用だ。

情報収集としての決算書チェック

転職活動,財務諸表
(写真=daizuoxin / Shutterstock.com)

財務諸表の活用と言われても、「読み方が分からない」「会計や経理の知識がないからムリ」と思う人が多いかもしれない。しかし、あまり知識がなくてもポイントさえ押さえれば、簡単な分析程度はできるようになる。

上場している企業ならば、EDINETや会社四季報に詳細な企業データ掲載されている。そこで財務諸表を見ることができるので、情報を入手するのは簡単だ。「この会社に転職しても大丈夫かな?」という不安がある人は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書の3つの決算書を使ってチェックしてみよう。

本業で儲かっている会社を見つけるには?

どれだけ儲かっているか、どれだけ利益を出しているかを知るには、損益計算書を見るといい。

事業での売り上げを知るには「売上高」の項目を見る。売上高から原価を引いたものが「売上総利益」、さらに人件費や広告宣伝費を引いたものが「営業利益」だ。つまり、営業利益は事業によって得た利益ということになる。

過去3~5年分の「売上高」や「営業利益」を調べることで、その会社が本業で成長しているのか、停滞しているのかが分かる。同業他社のデータと見比べれば、業界内での位置を知ることもできるだろう。

「本業以外が好調」など特徴が見えてくる

「売上総利益」は、売上高から原価を引いた利益を指す。たとえ売上げが良くても、コストが掛かり過ぎて利益が出ない会社もある。効率的な事業か行われているのかどうかを、売上総利益でチェックすることができる。

営業利益に「営業外収益」と「営業外費用」を加味したものが「経常利益」だ。営業外収益とは、受取利息や配当金など本業以外で発生する収益のことを言う。たとえば、株などで大きく儲けている会社もある。会社全体の収益力を見るには、経常利益をチェックするといい。

堅実経営の安定企業を探すには?

次に貸借対照表を見てみよう。貸借対照表は「資産」「負債」「純資産」の3つの項目で構成されている。「資産」は持っている資金や財産すべての合計で、借入金も資産だ。「負債」は借入金で、「純資産」は返す必要のない資金や利益など。「資産」=「負債」+「純資産」となる。

純資産が大きければ安心感がある。逆に、いくら資産があっても負債が大きければ不安材料になる。負債や純資産の比率を見ることで、その会社が堅実な経営をしているかどうかが分かるのだ。

総資産に対する純資産の比率を「自己資本比率」と呼び、(純資産÷総資産)×100で求められる。余裕があれば同業他社の自己資本比率をいくつか比較してみよう。もしかすると、より理想的な安定企業が見つかるかもしれない。

倒産はイヤだ!安全性をチェックするなら?

「資産」と「負債」に注目してみよう。資産は「流動資産」と「固定資産」で構成されている。「流動資産」とは1年以内に現金化できる資産のことだ。一方、負債にも「流動負債」と「固定負債」があり、「流動負債」というのは1年以内に返済しなくてはいけない負債のことを指す。

つまり、流動資産が多いということは、その企業には体力があるということになる。一方、流動負債が大きい企業は要注意だ。とくに流動資産が少ない場合は、返済できずに倒産する危険性も考えらえる。

(流動資産÷流動負債)×100で求められる比率を「流動比率」と言う。流動比率が極端に低い会社はリスクが大きい可能性もある。転職先に安全性を求める人は要チェックの項目だ。

キャッシュ・フロー計算書から状況を知る

キャッシュ・フロー計算書では、実際に現金が出入りした状況を知ることができる。「営業」「投資」「財務」の3項目に分類されるが、それぞれの合計がプラスかマイナスかによって、現在の会社の状況を読み取ることができる。

「営業キャッシュ・フロー」は営業活動の現金の流れを示しており、合計がプラスであることが望ましい。マイナスを示している会社は、本業が赤字となっている可能性もある。事業での現金の流れを知りたい場合は、この項目をチェックしてみよう。

「投資キャッシュ・フロー」は、本業ではなく、固定資産や株式の取得・売却で出入りした現金について表している。設備投資をすると大きなお金が動くので、マイナスになる企業は多い。将来性がある会社ほどマイナスであることも。逆に、急に現金が必要になって株や債券などを大量に売った場合はプラスになる。合計がプラスの場合は注意してみよう。

「財務キャッシュ・フロー」は、借入金の返済や現金の調達などの財務活動について示している。返済した場合はマイナス、調達した場合はプラスになるので、マイナスのほうが望ましいと言われている。ただし、急成長している企業などは借入金が大きくなり、合計がプラスになることも。見極めが大切だ。(渡邊祐子、フリーライター)

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