市場の変化や企業間競争の激しさを受け、中小企業も含めて多くの企業が社員への研修を導入し、企業の継続的な成長を促す動きが活発になってきています。研修の主な目的は職務に必要な技術や知識を習得することで、必要に応じて社内研修と社外研修を使い分けることが必要です。

今回は改めて社員研修の定義を振り返りながら、企業内で実施される社員研修の種類とその使い分けについてご紹介します。

社員研修とは?

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(写真=Pressmaster/Shutterstock.com)

社員研修とは企業が社員に対して、人材を育成するために行う研修です。雇用する企業や経営者の望む職務を遂行できるようになるために、社員ごとに必要なプログラムを選択します。

入社後に行われる新人研修や、中堅社員を対象とする研修、OJT、リーダー研修、管理職のためのマネジメント研修まで、研修にはさまざまな種類があります。また、社内で実施する社内研修と、外部機関が運営する社外研修があります。

研修の特色を見てみると、知識型の研修とマインド型の研修の2つに大きく分けることができます。最近では、技術的な知識を得るためのプログラムだけではなく、自己育成や自己発見といった自己啓発系の研修も注目されています。

知識型の研修では生産性の向上を図り、マインド型の研修では仕事に対するモチベーションの向上を期待することができるので、相乗効果で仕事の効率も上がるというわけです。

生き生きとした人材がいてこそ、企業は活動を続けることができます。中小企業にとっても、社員研修は社員を育てるための最も有益な投資方法のひとつといえるでしょう。

知識型の研修

知識型の研修は、今までの職務とは異なる技術的な知識を学んだり、さらなるスキルアップを望む社員のために取り入れる研修です。プログラムは、オフィスワークで必要なコンピュータープログラムの学習、新しいソフトウェアの操作方法の修得、取り扱い製品についての技術面や流通面の知識、商品を売り込むためのセールス戦術、すべての業種に共通して必要なロジカル・シンキングの知識など、さまざまです。

雇用主は、社員に必要な知識やスキル、適性などを十分考慮した上で、数ある研修の中から最適なコースを選択することが必要です。社員のスキルシートをベースに、能力にあった無理のない研修を選ぶことが大切です。
特に知識型の研修の場合は、研修を受講する社員が今後企業でどのような位置づけになるのかという将来的なキャリアプランを見据えながら、最適な研修を選択するようにしましょう。

マインド型の研修

マインド型の研修は、メンタリングやコーチングなど心の内部の成長や改革を促すものです。代表的なものとしては、モチベーションの向上やポジティブシンキングの学習などが挙げられ、その他にも意思伝達力や問題解決力の育成、自己発見の育成などがあります。

加えて、管理職に向けたプログラムとしては、組織運営に必要な的確な判断力の育成、タスク処理のスピード向上やリーダーシップの確立を目的としたものが挙げられます。

思考のための枠組みを鍛えることによって、社員はさまざまなシーンに対応できる人材となります。そうした人材が集まることで強固な企業体を築き上げていくことが、企業にとっては重要です。知識型の研修と並行して、社員を内側から磨いていくマインド型の研修を取り入れることで大きな効果が期待できます。

こうしたマインド型の研修で得られる効果はすぐには現れづらい場合があることは念頭においておくべきです。しかし、内容によっては後々になって大きな結果となって表れることも期待できます。企業がマインド型の研修に注目するのも、こうした内面の成長が結果として生産性の向上につながるからです。

中小企業は社内・社外の研修をうまく使い分ける

社内研修と社外研修は、希望する研修の内容や社員の能力に合わせて選択し、うまく使い分けをすることが大切です。

例えば、企業が属する業種の特徴や顧客との関わり方、流通性など、その企業に密接な知識を学ぶには、社内研修が向いているでしょう。他方、コンピューターのプログラムやソフトウェアの使い方や、グループワークで必要な論理的思考のノウハウ、チームワークのあり方の理解、セールスでの有効的なアプローチ方法など、多くの業種に共通するような内容の場合は外部の研修をうまく取り入れるといいでしょう。

企業を支える社員の成長を促し、企業の成長につなげることができる研修は、企業にとって欠かせないものです。人材育成への補助金などを活用して、企業を大きく育てていきましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年2月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。