東京株式市場は13日、日経平均株価が小幅に続落するさえない相場となった。FOMC(米連邦公開市場委員会)を前に米国でハイテク株への高値警戒感が強まる流れが波及。日本の関連銘柄は相対的に割高感が小さいものの、「本家」米国の変調が続く間は手掛けにくくなる。

自動車セクター
(写真=PIXTA)

一方、出遅れていたセクターには逃避資金が向かう可能性がある。その一つが自動車だ。株価指標面でも割安さが際立つ日産自動車 <7201> などは、今後に再評価機運が高まりそうだ。

日経平均は2万円を割り込んだものの、年初来の騰落率では4%超の上昇となり、堅調な動きを保っている。そうした中で、全体市場に対して大きく出遅れているのが自動車各社 <表参照、右上の画像クリックで拡大> 。トヨタ自動車 <7203> をはじめ、日産自、ホンダ <7267> などが軒並み年初来でマイナスリターンを余儀なくされ、マツダ <7261> に至っては2割超下落している。

自動車メーカーの今3月期の業績予想は、トヨタが連結営業利益を1.6兆円(前期比19.8%減)と見通すなど、慎重な姿勢が目立つ。為替の円安が足元で進みにくくなっていることも、物色圏外に置かれている理由だ。ただし、各社のPER(今期予想ベース)は10倍を割り込んでいるものもあり、出遅れ修正余地が大きいのは間違いない。

その中でも、日産自は評価不足銘柄の筆頭と言える。

同社が5月に発表した今期の営業利益予想は前期比7.7%減の6850億円と、市場予想を1000億円程度下回った。このため株価は低水準でもみ合っているが、期待材料も内包している。

まず、中国市場のシェアが高い点。同国では景気停滞による自動車販売の低迷懸念が根強く、5月の新車販売台数は前年同月比0.1%減と伸び悩んだ。ところが、日産自の成績をみると同5.7%増の53万台と好調だ。中韓関係の緊張で韓国車の売上が急減していることも、追い風となっている。

日産自は今期の中国新車販売台数を前期比9.3%増と計画しているが、達成の確度は高いと考えらえる。

また、電気自動車(EV)の新展開にも期待が掛かる。一部では、EV車「リーフ」の次期モデルが今年9月ごろに発表されるとの観測もあり、来期にかけて売上に大きく寄与する可能性がある。自動運転システムの搭載も含め、技術開発で他社に先行できれば、市場の関心も高まりそうだ。

このほか、前期に傘下に収めた三菱自動車 <7211> とのシナジー(相乗)効果も見込まれる。日産自ではその効果の本格化は2020年以降と考えているようだが、海外で倉庫の共有や販売金融での連携が進んでいる。車体の共通化や共同調達などの動きが加速すれば、早い段階での収益貢献が実現する。

日産自のPERは8倍を下回り、セクター相対でも圧倒的に割安な水準。PBR(株価純資産倍率)も1倍を割り込んでいる上に、今期の年間配当利回りが4.9%台と高水準であることも、株価の見直しにつながる要素だ。割安株の物色機運の高まりとともに、一気に資金が流入する展開も想定される。(6月16日株式新聞掲載記事)

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