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安全資産としての債権投資を考えている方は多いかと思います。今日は変動利付債券について書いてみようと思います。


債券投資とは?

債券投資をざっくり説明すると、人の借金を買う。そういう事になります。借金を買う訳ですから、債務者が返済を滞らせない限りは必ず回収できるという事になります。

一般的に最も安全性が高いとされているのが「国債」です。これは国と国民が負担している訳ですから、最も回収率が高いと言える債券なのは間違い有りません。国内銀行の殆どが定期預金などの利払いの為に国債を大量に購入していたりもします。

しかし、近年において最も大きなショックを齎したギリシャの例があるように絶対と云う訳では有りません。当然ですが、危険度が高いほど金利が高く危険度が低いほど金利は安くなります。

債券と一言に云っても色々な種類があります。会社が独自に発行する社債や、電力会社が発行する電力債、国が発行する国債など色々と有ります。それぞれの債券には利率があり、償還される際には利子と共に償還されます。債券の利率については固定された上で債券の値段そのものが変わり、金利が変動するものや、利率そのものが変動する変動利付債権などが有ります。

日本で発行されている多くの債券は固定金利ですが、ヨーロッパなどでは変動利付債券の方が多く発行されています。固定金利債券は発行される際に金利が決定し、そのまま利率が変わる事は有りません。これに対し、変動利付債券は償還される際の経済情勢や政策金利などから、償還される直前に金利が決まるという特徴があります。

期間が長くなればなるほど、先の事は解りません。固定金利で確実に利益とることも大事ですが、場合によっては、金利の部分は殆ど変らないままなのに、実体経済では大きな利率になっている。と云う事態も想定できない訳ではありません。そうした場合にはやはり、その時々の情勢に合わせて金利が変動するものを持っておいても良いのでは無いかと思うのです。

変動利付債とはいったいどんなもの?

先に変動利付債は償還される直前になって金利が決まる債券だと説明しましたが、それでは固定金利で利率が変動するのは何故?と思われる方もいるかもしれません。先ず固定金利でも利率は変動していきます。固定なのに何故?と思われるでしょうが、これは、金利そのものが変わるのではなく、債券の値段が変わっていると考えてください。

例としては、100万円で利率は固定。5%の債券を考えてみます。

これは、金利が5%な訳ですから、償還される際には 105万円になって返ってきます。なので、額面上はこの償還される金額が変更されることは有りません。しかし、債券の値段は変わるのです。市場に流れ出た債権は需給バランスによって場合によっては100万円の債券を90万円で買うことができる場合もある訳です。

額面上は100万円の債券で金利は5%。105万円で帰ってくる債券を 90万円で買えれば実質的に利率は10%上昇したことになります。

これが、固定金利で利率が変動するカラクリなのです。

これに対し、変動利付債券はこの金利の部分そのものが変動する事になりますので、債券の価格とは別に利率が設定されることになります。

  • 何方がお得?変動と固定

それでは具体的に固定金利と変動金利どちらの方がよりお得なのでしょうか。

これにはリスクコントロールや見込利益と云う事が考えられますが、低リスクでより確実に償還される額面が判る固定金利は相応に良いものです。

ですが、長期にわたって持ち続けなければならないとなると、長期間持った後に償還された金利が固定されていたがために利益が半減しているという事も考えられないでは有りません。当然ですが、逆に金利が下がっている場合も考えられる訳です。

変動利付債券を購入する場合にはこうしたリスクを獲るだけの価値があるか否かを確りと見極めて投資をしなければなりません。

今のところ、先進国の多くはゼロに近い金利の政策をとっていますので、固定金利もそれに伴う形で限りなくゼロなのでこれ以上に下がるとは考えにくいのです。そういた意味では、当面は変動利付債券の方がお得感はあるように思います。

  • 債券投資と云っても投資です

債券は基本的には安全な資産なのですが、そうは云ってもやはり投資で有ることは間違いなく、投資をするからには自己責任となります。現在問題となっている中国のシャドーバンキング等も、債券を売っていた訳ですが、およそ考えられないような高金利での貸し付けとなっているため、当然ですが債務不履行になる可能性が非常に高いと言えます。

こうした危険な債券に投資する際には十分に気を付けたいところです。

更に、ドバイワールドに端を発したユーロ危機で問題となったギリシャの国債なども、固定金利のものもありましたが、債券価格が「投機的水準(ジャンク級)」と云われ、債券価格は暴落していました。それにつられる形でPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字)の債券価格は概ね暴落(金利は上昇)そして逃げ出した資金がドイツやフランスの国債に流入したためドイツやフランスの国債価格は暴騰し、金利がマイナスになる現象まで発生いしました。

基本的に未来の事などどうやっても判る訳が有りませんので、結果論から見れば暴騰した国債は高値を掴んだ事になります。しかし、金融商品の特性として

「高いほど良く売れる様になり、安いほど売れなくなる。」

こういった特性が有りますので、そこを踏まえてどのような投資スタイルととるのか考えたい所です。


今後の経済見通しと債券の価格動向

今年も初めから経済は堅調に推移していくかと思われましたが、米国でのQE3を打ち切り出口戦略に入りはじめたこと、それに伴い新興国からの資産引上げなどからアルゼンチンの危機を誘発しました。また、短期的なリスクとして中国のシャドーバンキングも気になるところです。

こうした危機が発生すると資金はどうしても債券へと向かいやすくなります。短期的には債券価格が上昇し利率が下がるのではないかと考えられますので、今すぐに債券に投資すると、高値を掴むことになるかと思います。

しかし、長期的に見れば米経済の復帰から緩やかに全体を押し上げてくれる期待が出来ます。

以上から、今のところ変動利付債券の方が利子固定債券よりもお得なのではないかと考えています。現在の不景気を反映したほぼゼロ金利の状態で固定された金利よりも、将来的に金利が上昇する可能性のある変動利付債券の方が投資対象としては魅力があるのではないでしょうか。

photo credit: paul bica via photopin cc