協会認定テクニカルアナリスト兼カラアゲニストの「くろきん」です。今日も皆さんの「金融偏差値」を上げるような記事をご紹介させて頂きます。あなたは「ドルキャリー」という言葉をご存知ですか?
そもそも「円」キャリーとは
まず、「キャリー」という言葉。よく聞くのが、「円キャリー」というワードです。「円キャリー」取引とは、円を「借りて」ドルやユーロ、あるいは金なんかを「買う」ことを言います。なぜそんな事をするのでしょうか?
そもそも、円は、相対的にみてものすごく「低金利」です。これは銀行預金をしても、ほとんど利子がつかいないことから実感されていると思います。一方、ドルやユーロ、あるいは豪ドルなんかは相対的に見ると「高金利」です。ですので、円を借りて、より「高金利」のドルやユーロ、あるいは豪ドルなんかを保有していると、『「高金利」ー「低金利」』の分だけ、利ざやを稼ぐことができます。
借りた金は返す!?円キャリーの「解消」
実際、この円キャリーはFX(証拠金取引)などの活況もあり、2000年代に活発となりました。FXでいうと、ドル円やユーロ円、豪ドル円のロングポジションを持つことが円キャリーにあたります。そして、一般にこの円キャリーが進めば進むほど、円をたくさん借りることになるので、円安が進行します。
しかし、借りた「お金(円)」はいつか返さなくてはいけません。つまり、円を「買い戻す」日が必ずきます。これが円キャリーの「解消(あるいは巻き戻し。かっこよくいうとアンワインド)」といわれるものです。この、「解消」が起こると今度は逆に円高が進行します。
2008年のリーマン・ショック以降、世界的な金融危機で金利差が縮小したため、この円キャリーの「解消」が進みました。そして、その結果円高が急速に進み、2009年11月には一時84円台まで値をつけました。
本題!ドルキャリーとは?
では「ドルキャリー」とは?これはそのまま、「ドルを借り」て他の通貨であるユーロや豪ドル、金なんかを「買う」ことをいいます。こういった取引はみなさんもFXをつかって気軽にできます(ユーロ/ドル、豪ドル/ドルといったドルストレートの通貨ペアを取引すればできます。)一般に「ドルキャリー」を行うと、ドルを「売る」ことになるので「ドル安」になり、そして、他の金融商品(新興国の資産など)の価格が上がります。
新興市場の資産等が高騰するときには、このキャリー取引が絡んできます。
実際、新興市場国の外貨準備は、2008年9月末以降、2兆7000億ドル(約277兆円)増えています。これはドルを売ってこういった新興市場の金融商品を買ったことの結果の現れなのです。しかし、円キャリーのところでも記しましたが、借りている「ドル」はいつか返さなければなりません。
このドルキャリーの「巻き戻し」が急速に進むとどうなるか?今度は逆に、新興市場の価値は急落、これは世界的なデフレを牽引しかねません。