アウトプットに役立つ読書の習慣の身につけ方

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(写真=The 21 online)

成功する人は読書家であると言われる。セミナー講師、研修講師、法人営業コンサルタントを行なう大岩俊之氏もまた、年間300冊の本を読む読書家で、本から学んだことは多いと話す。その読書習慣について詳しくうかがった。

読書習慣をはばむ「二つの壁」とは?

「成功者はみな本を読んでいる」とよく聞きますが、私も仕事の中でそれを実感することがあります。私はセミナーや研修の講師、営業コンサルタントの仕事をしていますが、他のセミナー講師、研修講師で売れっ子のエースたちや売れる営業マンは共通して読書の習慣を持っているのです。一方で仕事が取れない講師は、本を読まない人が多いと感じています。

読書が習慣化できない人の問題点は二つに集約できます。一つは、本の探し方。「自分に必要な本」を見つけられないこと。もう一つは、読み方。たとえば、読み始めたら全部読破しなければならないと思い込んでいる人は多いです。この二つをクリアすれば、読書を習慣化できるはずです。

まず、「探し方」についてですが、自分に合う本はどう探すべきでしょうか。最近はAmazonなどのネット書店が主流になりつつありますね。買いたい本が決まっているときや、急ぎで本が必要なときなどはとても便利だと思います。しかし、「自分に必要な本を探す」ためには、リアルな店舗に足を運ぶべきだと私は考えます。

なぜなら、ネット書店の場合、実際に本を手に取ることができないため、限られた情報で判断するしかないからです。レビューの星の数やどこのどんな人が書いたかわからない感想を手がかりに購入することになるわけですが、そのレビューの書き手にとって面白い本が、あなたにとっても面白いとは限りません。

また、ネット書店では基本的にランキングや検索によって本を選ぶわけで、そこにヒットしない本と出合うのは難しい。リアル書店ならば、「なんとなく棚を眺めていたら目について、手に取ってみたら最高に面白い本だった」という出会いがあるわけです。私の場合、大げさな言い方かもしれませんが、自分の興味のある本は光って見えます。

また、書店では世間の流行を把握できるというメリットもあります。話題になっている本は目立つ位置に平積みされています。どんな人がどんな本を手に取って見ているのか、観察してみても面白いでしょう。

「自分に必要な本」とは、必ずしもビジネス書ばかりではありません。私の周りでも、仕事ができる人ほどさまざまなジャンルの本を読んでいると感じます。とくに、歴史や哲学といったジャンルは、成功者の必読書と感じています。また、同じビジネス書でも、流行の読みやすい本ばかりでなく、名著と呼ばれる古典的なものにも挑戦してみると良いと思います。

スキマ時間には書店に入ろう!

リアル書店で本を探すことは、情報の記憶の残り方に影響します。買った本を隅から隅まで読んでも、意外と記憶に残らないことはたくさんあります。それよりも、どの本を購入するか、限られた時間のなかで本当に必要な情報を探しているときの経験は、のちのちまで鮮烈に覚えているものです。

そういう意味では書店で書架を眺め、気になった本をパラパラと見ているだけでも十分、情報収集になっていると言えそうです。

このようにリアル書店の重要性を説いたところで、読書の習慣のない人は、まず「書店に行く」習慣がないかもしれません。まずはここから始めましょう。営業など外回りの人であれば、アポイントの隙間にカフェに寄ったりすることがあると思いますが、その時間に書店に足を運んでみるのです。都市圏の人であれば、駅前には必ず書店がありますので、帰宅時にでも寄ってみましょう。

ただ、本にも合う、合わないがあるように、書店にも相性があると私は考えています。ある書店に行くと必ず良い本と出合えるのに、他の書店だとそうでもない……という違いや、居心地の良さなどです。これは、必ずしも店舗の規模や品揃えの問題だけではないようで、たとえば大型店だと品数が多すぎて逆に選びにくい、という話も聞きます。実際に通ってみて初めて気づくことだと思います。

全部読もうとするから挫折する!

次に、本の読み方についてです。まず、先に述べた「読み始めたら全部読まねばならない」という思い込みは、大きな間違いです。

そもそも、本は何のために読むのでしょうか。買って手元に置いておくためではありませんね。知識・教養として、情報を役立たせるためです。そう思えば、「全部」を読むことにこだわる必要はありません。とくにビジネス書などは、ダラダラと読むよりはメリハリをつけて、どこが大切か、要点を探しながら読むべきです。

要点はあとで見てもわかるように、マーカーを引いたり、ページを折ったりしておくと良いでしょう。私の場合は、以前は線を引きながら本を読んでいました。しかし、のちに読み返したとき、その当時大事だと思っていた箇所と、今重要だと思う部分が違うことが結構あることに気づいたのです。そのたびに線を引き直しているとラインだらけになってしまうので、今は読み返したい箇所のページの端を折ることにしています。

ここまでに述べたことは、読書の習慣を身につけるための入門編。しかし、この記事を読むような方の多くは、すでに読書の習慣をお持ちかと思います。そういった方には、ワンランク上の読書体験をしていただきたいです。それは、本の選び方、読み方の次にある「活かし方」とも言うべきことです。

ブックタワーで戦略的「積ん読」を

よく言われることですが、読んだ本の内容を身につけるには、アウトプットする習慣を持つことです。読んだら人に話す。人と話す機会の多い営業職ですと、読んだ本の知識を披露する機会も多いでしょう。

また、SNSを利用するのもアウトプットになります。ひと言「この本は面白かった」とつぶやくだけでもいいのです。中身まで書き込もうとすると、面倒で続かないと思います。また読書会にてほかの人に本の良さを伝えることもできます。読書会もリアルでなくてもかまいません。私が少し前まで行なっていたのはSNSを利用した読書会です。数人で『論語』を読んで、今日の出来事を『論語』の内容を重ね合わせて紹介するというものです。

もう一つ、上級の読書法が「積ん読」です。もちろん、積んだまま読まないということではなく、「積みながら読んで吟味する」ということ。私の場合、横積みに本が積めるブックタワーを活用し、ここに新しい本を一時的に置いたりします。私の自宅の本棚は小さいので、あまり多くを置けないのですが、本棚に収める「一軍入り」する本かどうかを「積ん読」で見極めるのです。

私の本棚は、早いと1週間、約ひと月に1回は内容が入れ替わります。ただ、そんな中でも、絶対に二軍落ちしない本もあります。たとえば、『働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。』(戸田智弘著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本はずっと一軍の本です。これは、古今東西の有名人の仕事観を集めた名言集ですが、起業したときや壁にぶつかったときなど、何度も助けられました。
良い本は何度も読むことで自分の血肉となると思います。そんな本に出合うためにも、まずは読書習慣を身につけましょう。程度良いものを買って、手入れをしながら大切に長く使うのが良いと思います。

大岩氏の自宅の本棚

■メインの本棚

(写真=The 21 online)
(写真=The 21 online)

ここには主に、古典や名著と言われる本など、頻繁に何度も手に取って読む「一軍の本」が置かれている。「本棚は、ひと目でわかる見やすいものが良いでしょう」と大岩氏。

■ブックタワー

(写真=The 21 online)
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「とりあえずの置き場」としても便利なブックタワーも活用。そのときどきの仕事に関連する本など、「一軍の本」に昇格する可能性のある本がここに置かれている。

■クローゼット&子供部屋

クローゼット&子供部屋

(写真=The 21 online)
(写真=The 21 online)

その他の本(「二軍の本」や、あまり読まないけれど保存しておきたい本)はさまざまな場所に保存。クローゼットの中(上の棚の部分)や、子供部屋にも本がたくさん置かれている

大岩俊之(おおいわ・としゆき)ロールジョブ代表
1971年、愛知県生まれ。大学卒業後、電子部品メーカーなど4社で法人営業を経験。どの会社でも必ず前年比150%以上の営業数字を達成するなど、営業成績は常にトップクラス。読書会やイベント主催、セミナー講師として週末起業を始め、のちに独立に成功。営業、交渉力アップ、コミュニケーション、コーチングなどの研修講師として、年間130日以上登壇。(取材・構成:西澤まどか)(『 The 21 online 』2017年5月号より)

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