一般社団法人全国住宅産業協会の調査によると「リバースモーゲージ」のことを知らない人の割合は62.8%であった。アメリカではメジャーなこの制度であるが、日本ではまだまだ認知度が低い。そこで、今回は「リバースモーゲージ」について紹介したい。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージ(Reverse mortgage)とは、自宅を担保にして、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられる制度である。モーゲージというのは、抵当付きの住宅ローンを意味し、最初にお金を借りて毎月返済してローン残高が減少していくものである。これに対し、リバースモーゲージはその逆で毎月お金を借りてローン残高が増えていき、最後に全額返済する。一般のローンの逆なので「逆」を意味する「リバース」が付いている。公的年金だけで現金収入が少ない高齢者世帯が、住居を手放すことなく一定の収入を確保できるのが魅力だ。
通常のローンは現金で返済することが前提になっているが、リバースモーゲージは死亡後に自宅を売却あるいは抵当権を実行して返済に充てる。そのため、住宅ローンの場合、借りる人の返済能力が審査されるが、リバースモーゲージは、借りる人の返済能力は問われず、担保となる不動産の価値が審査の対象になる。ただ、返済能力が問われない分、不動産価値は厳格に審査され、不動産の売却で十分返済できる額しか融資は受けられない。
リバースモーゲージは、アメリカでは非常に一般的であるのに対し、日本ではなぜ普及していないかというと、日本人は新しいものが好きで、古い家屋の価値が低く評価されているからだ。また、日本人は生まれ育った家に愛着を持ち、子供に家を残したいという意識が強いため、最終的に不動産を売却して精算するリバースモーゲージの導入が少ないのだ。
他方、アメリカは、中古の建物の価値は日本に比べ高く、また、住居も環境の変化に応じて転々と変える文化なので、リバースモーゲージを利用して、そのお金で優雅な老後を過ごそうと考える人が多い。