「厚生年金」は多くの人にとって老後の生活における重要な存在であるにもかかわらず、意外にその詳細までを捉えきれていない人が多いのではないだろうか。

「厚生年金保険法」という法律に基づいて政府が管掌するこの制度。同法の第一条には、「この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」と明記されているのだが、ここでは「寄与の実態」に触れてみることにしたい。

保険料の負担は労使折半

年金,厚生年金
(写真=PIXTA)

厚生年金の事務のほとんどは、日本年金機構に実際の運営が委任もしくは委託されている。事業所は従業員を採用した時など、新しく厚生年金に加入すべき人が生じた場合には、機構にその旨を届け出ているので、保険料は月々の給料から天引きされることになる。実務的には、4月から6月にかけての3カ月分の総支給額、つまり基本給に役職手当、住宅手当、時間外手当、通勤手当などを加えた金額の平均を「標準報酬月額」として、9月から来年8月までの間は、この金額に応じた保険料が適用されることになっている。

自分が一体いくらの保険料を負担しているのかは、給与明細の「厚生年金」という項目で確認できる。2017年以降の保険料は18.3%となっているのだが、給与明細を見るとちょうどその半分でしかない金額が記載されている。これは「労使折半」の規定によって、会社が保険料の半分を負担してくれているからなのだ。

厚生年金の加入者とは

厚生年金保険に加入している会社や工場、商店、船舶などの適用事業所に常時使用される70歳未満の人は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となる。ここで「常時使用される」というのは、雇用契約書の有無などにかかわらず、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることを意味している。

たとえ試用期間中だったとしても、報酬が支払われる場合には使用関係が認められることになる。2016年10月1日以降は被保険者資格の取得規準が明確化され、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」となっている。

ここで注意しておかなければいけないのは、厚生年金の加入者は国民年金の「第2号被保険者」に自動的に加入していることになることだ。厚生年金に加入すると、国民年金保険料も同時に天引きされることになるわけだ。その結果として、加入者が厚生年金を受け取る際には、基礎年金としての国民年金を併せて受け取れることになる。

受け取れる年金額の実態 いくらもらえるのか?

保険料が給料から天引きされるのは仕方ないにしろ、気になるのは将来受け取れる年金の金額だろう。厚労省が年齢層別の厚生年金受給額をまとめた結果として、平均月額は60代後半が約15万円、80代後半は約17万円などとなっているとした。2017年4月1日時点で71歳以上の人は年金がより多くなる計算方式が使われており、若くなるほど減る傾向にあるのだという。

年金額が最も多いのは85歳から89歳の17万959円で、65歳から69歳の15万118円に比べると2万円以上の差がついている。また、60歳から64歳の人は基礎年金がない分、さらに少ない額の8万8353円だった。一方で90歳以上の人には年金の加入期間が短い女性が多いことなどが影響したこともあって、年金額は15万5788円となっている。

「ねんきん定期便」の確認を

実は日本年金機構からは、毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られて来る。50歳未満の人には、これまでの年金加入期間と加入実績に応じた年金額、最近の月別状況などが記載されており、50歳以上の人には、老齢年金の年金見込額も併せて示されている。

また、35歳、45歳、59歳といった、年金の受け取りに必要となる加入期間を確保するための節目となる年齢の人には、年金加入記録の確認方法などを詳しく記載したパンフレットや、年金加入記録の確認のための「年金加入記録回答票」が同封された、封書による「ねんきん定期便」が送られている。もし定期便の内容に不明な点があった場合には、すぐに機構に問い合わせてみるべきだろう。

2017年8月からの改定内容

ところでこれまでは、老齢年金を受け取るためには、国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む保険料の納付済期間と、国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間は、原則として25年以上が必要とされてきた。それが2017年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになったのだ。

また、10年の資格期間がなかったとしても、「60歳以上70歳未満」の期間に国民年金保険料を納めることで、年金を受給するために必要な資格期間を満たす「任意加入制度」を始めとする、いくつもの救済措置も講じられている。

いずれにせよ、現在の日本年金機構は年金制度の明瞭化に極めて積極的だ。厚生年金について少しでもわからない点があった場合には、機構の窓口に問い合わせてみるのが賢明だろう。(ZUU online 編集部)

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