ドル円予想レンジ112.80-115.20
「FedEyesSeptemberAnnouncementonBalance-Sheet Reduction(FRBは9月にバランスシート縮小を視野)」-。これは7/4米経済紙の見出しだ。同紙によると、“9月にFRBが保有資産縮小開始を発表した場合、12月まで利上げは見送り”とし、その理由にイエレンFRB議長の任期(2018年2月)直前の開始は避ける、との見解を示していた。6/26週号で筆者が邪推、と指摘した“イエレン任期説“の見立てにほぼ近い。
イエレン議長の証言はドル買いを誘うか
量的緩和策で膨張したFRBの資産を年内に縮小開始するとの意向は6月のFOMCで示されていた。保有している資産規模は国債や住宅ローン担保証券(MBS)を中心とした約4兆4千億ドル(約500兆円)である。縮小開始、市場還流のタイミング次第では米景気を抑制する可能性もあり、開始時期が注視されるのは当然だ。
そうした中で市場が刮目したのは、7/5公表の6月FOMC議事録である。なぜなら、資産縮小を始める時期についてFOMC委員の意見が、‘数人は2~3カ月以内’、‘複数参加者は年内遅くまで待つべき’と割れていたからだ。つまり早ければ、7/26、9/20。遅ければ12/13のFOMCを意味する。筆者の考えを式にしてみると、“縮小開始時期先送り≒経済見通し不定見≒リスク増”である。
そこで注目なのは、FRBのシナリオを探る手掛かりとして7/12の米議会下院金融サービス委員会におけるイエレン議長の議会証言(草稿の事前公表有り)だ。6月の会見時同様、イエレン議長が自信を示せば、ドルブル派の勇躍度合いが試されるだろう。オバマケア代替法案の上院採決、米議会の審議の行方が不透明な中で、ドルはイエレン証言をベースとした王道展開を示すのではないか。
一方、7/7に日銀金融市場局は固定利回りで国債を買い入れ、指し値オペ(公開市場操作)の実施を通知。新発10年物国債347回債は0.110%で無制限に買い入れるなど金利上昇の抑制を図る狙いだ。これはFRBに続き、欧州中銀などの金融政策の正常化、金利上昇傾向に比べて“日銀の出口戦略はまだ先“とした市場メッセージでもあり、金利面での円買いインセンテブを対ドルほか、対主要通貨で後退させた格好となる。
7月第2週のドル円上下焦点
上値焦点は5/12高値113.97、5/10-11高値圏114.37-38。超えれば3/15高値114.90、115円節目、3/14高値115.205。3/10高値115.52、1/19高値115.635が期待値。下値焦点は7/4-5-6安値圏112.89-82-73。割れると7/3急騰起点の112.50圏、112.20圏が意識されると推考。
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト