日経平均予想レンジ19,755~20,200円

株式相場見通し,2万円,レンジ相場視野
(写真=PIXTA)

今週は、米国市場休場により手掛かり材料に欠ける中、日経平均は2万円を下値支持線として一進一退の展開となった。しかし、週末にかけて米欧の長期金利上昇を嫌気した欧米株安を受け、6/16以来約3週間ぶりに2万円の大台を下回った。

海外の焦点

米経済指標では、6月ISM製造業景況指数が57.8と前月の54.9から上昇して、2014年8月以来約3年ぶりの高水準となった。市場予想の55.2を上回ったことが安心感につながり、NYダウは21,562ドルの史上最高値を付けた。

米欧の中央銀行が金融緩和の引き締めに前向きな姿勢を示していることを材料に、米国債利回りが上昇。為替は1ドル113円台前半まで円安に振れ、日本株の追い風となった。

又、FOMC議事要旨(6/13,14開催分)は資産圧縮の決定時期が注目されたが、「2、3カ月以内」と「今年遅く」との意見で割れていることが判明した。ただ、9月会合で決定されるとの見方から資産圧縮に伴う長期金利の一段の上昇に警戒感が出ている。

国内の焦点

3日発表の日銀短観は大企業製造業の景況判断DIは+17(予想+15)と5ポイント改善し、3年3カ月ぶりの高水準となった。足元では製造業において利益率が改善したことが寄与したものと見られるほか、海外経済の回復で素材市況や機械輸出が堅調で、企業心理を押し上げた。市場では改善は織り込み済みだが、良好なファンダメンタルズが相場の支えになっている。

一方、全般に改善している景気指標に一部変化が見られる。6/26に発表された4月景気先行指数DIは昨年12月と1月のピーク78.8から7月は55.7に低下した。株式相場は景気に先行して動くため、日経平均とDIとは連動性が見受けられる。したがって今年に入ってDIが低下していることで、今後景気の先行きを示すDIが50に接近してくれば、下向きと判断されるだけに注視しておきたい。

テクニカル面では、4月後半からの上昇相場でサポートラインとして機能していた25日線を割り込んだ。早期に25日線を回復すれば、上昇トレンドは崩れないが、5日線とのデッドクロス形成で短期的な調整圧力の強まりは否めない。当面、2万円を挟んだレンジ相場に移行することも視野に入れておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は円安の勢いが一服し、上昇リズムが鈍化している中では4-6月期の決算に注目が集まりやすく、業績面での選別物色の流れは強まりそうだ。日経平均のレンジは上値は20,200円付近が意識され、下値は6/15安値19,755円が目処となろう。

株式見通し7-10

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト