中国の「無現金社会」は目前に迫ってきた。しかしさまざまな問題にさらされている。

第三者機関のデータによると、2016年の中国第三方支付(現金でもクレジットカードでもない決済)の総決済額は57兆9000億元(約960兆円)となり、前年比85.6%も伸びた。

そのうちモバイル決済の規模は38兆6000万元で、これはすでに米国の50倍になっている。あまりに急速な発展ぶりで、中国はすでに無現金社会に足を入れた状態である。官製メディアの「人民網」は、現状の問題点を分析して伝えている。

天の時、地の利、人の和

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(写真=PIXTA)

中国の電子決済がなぜこんなに大きな風水を巻き起こしたのか。天の時、地の利、人の和、の総合作用の結果である。

天の時とは、全世界が無現金社会への趨勢にあることだ。例えば韓国政府の2020年における計画では、硬貨の流通は消失している。またデンマークでは、現金での支払いを拒絶する商店が認可された。クレジットカードとモバイル決済の専用だ。

人の和とは、中国における移動通信設備とスマートフォンの急速な普及である。2016年末、中国“網民”(ネットとつながる人)は7億3100万人となり、前年より4299万人増えた。そのうちスマホ網民は6億9500万人、増加は550万人だった。スマホ増加はどうやら終端にまで達した。

地の利は、最も重要な要素である。現在、中国人民銀行(中央銀行)では267件の第三方支付の営業許可を発行している。2010年以来この新しい決済市場規模は、過去7年50%ペースで増加し、今や全世界のリーダーとなった。

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