コンビニでのちょっとした買い物などでスマートフォンや携帯電話を使って支払うモバイル決済は、細かい小銭の出し入れが不要となり、利便性も高い。技術先進国の日本は世界に先駆けてサービスがスタートしたものの、その利用はあまり広がっていないようだ。日本銀行が2017年6月に発表した「モバイル決済の現状と課題」のレポートによると、2016年11月時点の携帯電話やスマートフォンにモバイル決済の機能が付いているという人の割合は42%だが、実際にモバイル決済を利用する人はわずか6%にとどまるという。日本のモバイル決済を巡る利用状況と、世界のトレンドに着目する。

40代の利用が最多、20代女性の利用は進まず

モバイル決済,電子マネー
(写真=PIXTA)

モバイル決済の利用状況には、年代や性別、地域性に大きな特徴がみられる。日銀のレポートでは、世代別のモバイル決済を店頭で利用している人の割合は、意外なことに40代の利用率が16%と最も高く、最先端のスマホなど新しい機器をすぐに使いこなす20代の利用率(12%)を上回った。40代以降は、年齢の増加とともに、モバイル決済の利用割合は下がり、モバイル決済そのものの機能を認知していない割合が増加する。

男女別の利用率に着目すると、どの世代においても男性の方がモバイル決済を積極的に使いこなしている。特に20代では、男性の利用率が約20%に対し、女性の方は4分の1程度の約5%にとどまる。男性は30代、40代のモバイル決済利用率は20代と同じ水準で、いずれも同年代の女性の利用率を大きく上回っているのが特徴だ。さらに、地域別では、関東の利用率が15%超と全国で最も高い一方、北陸は約5%の利用にとどまる。モバイル決済を使用しない理由としてセキュリティや端末を紛失した時の安全性への不安が最も高く、若い女性ほど、モバイル決済に対する不安を強く感じ、利用が普及していないとみられる。

先進国低い利用率、新興・地上国では普及拡大