日経平均予想レンジ20,000~20,318円

今週は、雇用統計発表を受けた米国株高や114円台への円安進行を追い風に、日経平均は6/29以来20,200円(7/11)まで上昇した。その後、イエレンFRB議長の議会証言を好感してNYダウが市場最高値を更新したものの、強含みの円相場が重しとなり伸び悩んだ。

海外の焦点

米経済指標では、6月雇用統計は22.2万人増(予想17.8万人程度)と前月15.2万人増から伸びが加速し、4カ月ぶりの高さとなった。FRBが目指す年内利上げと資産圧縮開始を後押しする内容。注目の13、14日両日開催されたイエレン氏の議会証言は、バランスシートの縮小については「年内に開始するだろう」と指摘した上で、経済成長と物価安定に向けて「今後数年、緩やかな利上げが適切」との認識を示した。物価上昇の減速が長引けば計画を見直すなど、予想以上にハト派的な姿勢を打ち出したことで市場には安心感が広がっている。

一方、最近米国株が割高とされる一因として、イールドスプレッド(国債利回り-株式益利回り)が割高と警戒される-3.4%を上回り、-3.0%に上昇している。米国債利回りの上昇に比べて米国株高に伴う株式益利回りの低下が要因。株高を支援してきたトランプ政権の政策期待がやや薄れていることで割高修正が起きてもおかしくない。今後、米国債利回りが上昇すれば、米国株にとってリスク要因になることには留意しておきたい。

国内の焦点

10日内閣府が発表した6月の景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DIは50.0で前月比1.4pt上昇し、3カ月連続の上昇となった。

好調な自動車業界などの企業動向、雇用、家計動向関連すべてが改善した。2-3カ月先を見るDIは50.05で前月比0.9pt上昇した。判断の表現は「持ち直しが続いている」を据え置いた。

テクニカル面では、5日、25日線がゴールデンクロスを形成した。先高期待を窺わせるものの、売買代金は盛り上がらず上値追いへのエネルギーは乏しい。25日線が下値支持となれば、6/20に付けた高値20,318円を試す展開となる。ただ、割り込むと下値模索への警戒感が強まる。当面、上値は6/20高値20,318円と7/7安値19,856円とのレンジ相場が続く可能性の中で、方向感を探る局面も考慮しておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は国内では、19日から開催の日銀金融政策決定会合、及び展望レポート公表。米国では、7月NY連銀製造業景況指数、6月景気先行指数が注目される。日経平均のレンジは上値は6/20高値20,318円が意識され、下値は節目の2万円が目処となろう。

株式見通し7-14

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト