必要な書類やモノがすぐに出てくる!

紛失,デスク,超・整理術
(写真=The 21 online)

仕事のミスで絶対に避けなくてはならないことの一つに、モノや書類の紛失がある。最終的に見つかったとしても、探すまでに費やした時間はムダ以外のなにものでもない。こうしたミスを繰り返すのは、オフィスのデスク周りをきちんと整頓できていないから。片づけのプロである小松易氏に、必要なときに必要な書類やモノがすぐに出てくるデスクの整頓術をうかがった。

片づけのコツはデスクのコックピット化!?

「ミスが起きないデスク」の理想の姿は、飛行機のコックピットのような状態。コックピットには数百もの計器や機器がありますが、ムダなものは一切なく、何がどこにあるかも明確。そのためパイロットは緊急を要する場面でも、必要なときに必要な機器を操作し、ミスなく適切な行動をとることができます。

一方、デスク周りがコックピット化できていないと、いつも探し物をすることに。自分個人の書類やモノを失くすのならまだいいですが、クライアントから預かった大切な書類やモノを紛失すれば、会社の信用問題にまで発展しかねません。

デスク周りをコックピット化するために、まず取り組むべきなのは、整理・整頓のうちの「整理」です。整理とは、必要なモノと不要なモノに分け、不要なモノを捨てること。机の引き出しがモノであふれている人は、まずは不要なモノの廃棄から始めましょう。

整理によって、必要なモノだけを残したら、次はそれを「整頓」していきます。整頓とは、飛行機のコックピットのように「わかりやすく、かつ使いやすいところに配置・収納すること」を言います。つまり、「モノの定位置」を決めること。これにより、大切な書類やモノをなくすといったミスを劇的に減らすことができます。

「A4一枚」でスッキリまとまる書類整理術

ただし整頓は、実際にやろうとすると意外と大変です。資料のファイリング一つとっても、営業ツールの資料もあればプレゼン資料もあり、精算用の書類もあるというように多種多様だからです。いきなり手をつけようとしても途方に暮れてしまうでしょう。

そこで私は整頓を①分類、②配置、③収納の三段階に分けて取り組むことを勧めています。さまざまなグループに資料を分類し、次に分類したグループごとに配置する場所を決め、最後に見えやすく取り出しやすい収納の仕方を考える、という手順を踏むわけです。

まず分類ですが、A4の紙を使い、3段階に分けてグルーピングしていきます。仮に手元に30種類の書類があるとしましょう。まずは、30種類の書類の内容を紙の左3分の1にすべて書き出します。

次に、それをさらに10程度の項目にグルーピングします。そしてそれぞれの項目に名前をつけて、紙の真ん中に書き出していきます。

さらに10程度に括くくった項目をもう一度グルーピングし、3項目程度に括って紙の右3分の1に書き出します。すると右から大・中・小の項目に分類した書類リストができあがるわけです。どんな書類も必ずいずれかの分類に属すことになりますから、「あの書類、どこのファイルに入れたっけ?」と迷うことがなくなります。

ここでやってはいけないのが、「その他」の項目を作ることです。分類が難しい書類があると、つい「その他」に入れてしまうため、雑多な書類が集まったムダに分厚いファイルができてしまうのです。多少無理をしてでも、項目名をつけて分類することが大事です。

パソコンと電話以外は机の上に置かない

分類が終わったら次は配置です。すなわちモノの置き場を決めていきます。

デスク周りは、エリア1からエリア5までに分けることができます。このうちエリア1の机の上に常時置くアイテムは、原則パソコンと電話だけにします。机の上に今取り組んでいる仕事の資料や道具以外のモノが置かれていると、それが目に入って集中力が削がれ、ミスを引き起こす要因となるからです。

次に、エリア2の一番上の引き出しには文房具、エリア3の真ん中の引き出しには電卓や電子辞書などの小物類を入れていきます。

そしてエリア4の一番下の引き出しに、先ほど分類した書類を入れます。オフィスのデスクの大半は、ここにA4サイズの書類が入るファイルボックスがちょうど5個ぶんぴったり収まるサイズになっています。それを入れたうえで、大・中・小項目に分類した書類を、大項目ごとに配置していきます。

ただし一番手前のファイルボックスだけは、今使用中の書類を入れるために空けておきます。就業時間中に机の上で使っていた書類一式を、仕事が終わって帰るときに、この手前のファイルボックスに収めてから退社するのです。そして翌朝出社したら、またファイルボックスから書類を取り出して仕事を始めます。「どうせ明日も使うのだから」と机の上に置いたまま退社すると、ほかの書類と混ざって紛失の要因となるからです。

ちなみにエリア5のデスク手前の引き出しは、板の厚さが薄く、モノをたくさん入れるのには不向き。そこで基本は空にしておき、席を離れるときに机の上に置いている書類をいったん中にしまっておく臨時の置き場として活用しましょう。

こうして配置が終わったら、最後は収納です。配置したモノを、見えやすく取り出しやすいように整えていきます。とくに工夫が必要なのはやはり書類です。書類は平積みではなく必ず縦にして保管し、背表紙にタイトルを書くなどして、どこに何の書類があるかが一目でわかるようにしておきます。

理想は、新人でもモノがすぐに見つかるデスク。デスク周りの分類や配置は、基本的には自分が使いやすいように創意工夫しながら取り組めばいいでしょう。

ただし、自分さえわかればいいという分類や配置は避けるべきです。外出先で会社に置いてきた書類が急に必要になり、同僚に探してもらうといったことも起こり得るからです。異動や急な入院などで、同僚に仕事を引き継いでもらわなくてはいけない場合もあるでしょう。その際、自分にしかわからない配置をしていると、ミスや業務の遅延を招きます。理想は、会社の業務のことをまったく知らない新入社員が見ても、すぐに理解できる分類や配置にすることです。

一度分類や配置をしたら、次はそれを維持することが大切になります。そのためには一つの作業が終わったら、必ず書類や文房具などを定位置に片づけてから次の作業に入る、というルールを自分に課すことです。

また不要になったモノは溜め込まず、どんどん整理していきましょう。こうした習慣をつけることで、「ミスの起きないデスク」を維持することができるのです。

小松易(こまつ・やすし)かたづけ士
「かたづけを通じて人生を変える」をコンセプトに、経営者や企業向けのコンサルティングを行なっている。著書に30 万部を超える『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(中経出版)、最新刊は『コミック版 たった1分で人生が変わる片づけの習慣』(中経の文庫)。テレビ出演にテレビ東京『ガイアの夜明け』など多数。(取材・構成:長谷川敦)(『 The 21 online 』2017年6月号より)

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