クレディスイスが「Facebookの株価は2018年末までに45%上昇する」 とし、目標株価を今後12カ月は175ドルから180ドル(約1万9769円から2万335円)、2018年末は220ドル(約2万4853円)へ引き上げた。

すでに前年比30%増の伸びを見せているFacebookの株価だが、クレディスイスの発表を受け、151.44ドルから155.27ドル(約1万7108円から1万7540円/7月11日NASDAQデータ)まで値上がりしている。

第2四半期の広告収益は9806億円と予想

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(写真=PIXTA)

CNBCの報道によると、ターゲット顧客の需要を適格に把握したFacebookのマーケティング戦略が、来年にかけて株価を高騰させるとクレディスイスは予想。1株当たり利益も4.98ドルから5.08ドルへ(約563円から575円)と上方修正した。

第1四半期に見られたアド・ビュー(バナー広告がクリックされる回数)の鈍化と広告料の値上がりは、「第2四半期の株価上昇の兆候」とポジティブに分析している。

昨年Facebookが導入した旅行業界向け「ダイナミック広告」 がすでに広告主の間で好評であることから、「第2四半期の広告料を押し上げ、結果的に株価に反映する」というのがクレディスイスのアナリスト、ステファン・ジュー氏の見解だ。

ダイナミック広告は旅行への関心を示したインターネット・ユーザーをターゲットに、FacebookやInstagramなどのSNSで広告を自動表示するサービスである。ターゲットを絞ることで、効率性と利益性の著しい向上が狙える。

ジュー氏は「広告主に(賢いマーケティングの)知恵がつき始めている」ため、今後ダイナミック広告のようなターゲット型広告の需要が飛躍的に伸びると確信。第2四半期の広告収益は86億7000万ドル(約9805億7700万円)を予想している。

またGooleに対しても同様の、「長期的な利益が期待できる」という見解を示している。

偽情報拡散防止対策が今後の重要課題?

Facebookは今年に入り、月間ユーザー数20億人を達成 するなど、快進撃が続いている。10億人達成の時点では毎日ログインするリピーターの割合が55%だったのに対し、現在は65%まで伸び、月間ユーザー数15億人を誇るYou Tubeと共に、SNSトップの座を維持している(Tech Crunchより)。

Facebookの成功は、効果的な事業の多角化によるところが大きい。広告事業はその最たる例で、2009年には7億6400万ドル(約864億840万円)だった収益が、2016年には268億 8500万ドル(約3兆514億円)という桁違いの数字を記録した(Statista調査 )。

しかしFacebookを含むSNSには、社会問題化している「フェイクニュース(偽情報)やヘイトスピーチ(個人や集団を攻撃、侮辱することを目的とする発言)の拡散」に取り組むという、重要な課題も残されている。多くの消費者がSNSを情報入手の手段として利用している近年、他愛のないものから悪意に満ちたものまで、真実ではない情報に振り回される被害が多発している。

偽情報拡散の発信地の代表格として非難を受けたFacebookは、「ファクト・チェッカー」 と呼ばれるAI(人工知能)技術を取り入れたツールを採用し、偽情報の拡散を未然に防ぐ対策を講じているが、撲滅というレベルにまでは到達していないようだ。

Facebook の第2四半期報告は、7月26日に予定されている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)