公的年金と聞くと、ネガティブな情報が多い。それほど、若者にとって公的年金といえば不透明な老後の象徴。最近はiDeCoが注目され、運用次第で多くの年金を受け取れることにメリットを感じる一方、「そこまでしなければ今の老後世代のような年金は受け取れないと暗に示唆されているのか」と懐疑的になることも多いのではないだろうか。
また、「貯蓄から投資へ」と政府や金融機関が主張していることも、後押ししているような感情を持つ。そこに対して、「30代は年金受け取ることのできない」「年金受け取りは近く現行の65歳から70歳に変わる」と不必要に煽ることもまた、年金によりネガティブな印象を与えている。
ここでは様々な局面で耳にする、年金のありがちな「間違い」について考えてみよう。
1. 若者は年金を受け取ることはできない
公的年金は「賦課方式」という制度を採用している。少子高齢化の影響で現在のシステムが成り立たなくなり、20年後や30年後、現在の現役世代が高齢者になる頃には「年金を貰うことができなくなるのではないか」という意見は根強い。
結論からいえば、将来年金制度に手を加えられることがあったとしても、65歳から受給年齢として保険料を払っている被保険者が、ある日、突然70歳からに変わることはない。それを世論が許すことはないと考えるのが自然だ。具体的な例として、たとえば民間企業の個人年金でこういう処置をとれば、どれだけ約款による免責要件を整えていたとしても訴訟リスクがあるだろう。
これまでも報酬比例部分があったように、この席に年金制度改正があった場合も、長い期間にわたり現行の制度で納めてきた世代は救済されて当然だ。この部分はメディアも過剰に煽りたい部分だが、現実的にはまず考えられないだろう。