平成29年度税制改正により、今年の1月1日から、相続や贈与などで引き継いだ非上場株式の評価の仕方が変更になった。これにより、非上場株式に課せられる相続税はおおむね減税になる模様だ。ただし、条件によっては、一部の中小企業の株式はむしろ増税となることも。
非上場の自社株の評価はどのようになっているのか。そして、どのような場合に増税となるのだろうか。
非上場の自社株の評価とは
自社株相続とは、同族会社のオーナー社長やその一族が所有する株式の相続のことをいう。上場企業の株式のように、取引相場の価格という客観的な基準で評価を行うことができるが、中小企業の株式のように上場していない場合には、そのような基準がない。
そこで、非上場株式については、「財産評価基本通達」に基づいて、株主や会社の規模などに応じ、その評価方法を行うことになっている。中小企業に多い同族会社の場合、その会社に対する一族の支配力も強いため、中心的な同族株主や役員候補が取得した場合、原則として次のように会社の規模に応じて株式を評価することになっている。
大会社:類似業種比準価額
中会社の大:類似業種比準価額×90%+純資産価額×10%
中会社の中:類似業種比準価額×75%+純資産価額×25%
中会社の小:類似業種比準価額×60%+純資産価額×40%
小会社:純資産価額
ただし、大会社と中会社については、純資産価額との選択適用が、小会社については「類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%」との選択適用が認められている。
類似業種比準価額は、事業内容が類似する上場企業の株価をベースにし、これに上場会社と「自社の配当」「利益」「純資産」を考慮した上で、自社株を評価する方法だ。
この方法だと、自社の事業で利益が出ている場合や基準となる企業の株価が高い場合は、自社株の評価額も高くなりやすい。しかし、市価の変動が大きいため、対策も取りやすい。
一方、純資産価額は株式を会社財産に対する持ち分と考え、会社の純資産額に基づいて株式を評価する方法をいう。この方法では、社歴が長く剰余金の大きい会社や含み益のある不動産などを保有している会社の場合は評価が高くなりやすい。また、基準が資産であるため変動が少なく、その分対策が難しい。