株式投資の世界には多くの成功者が存在する。金融市場の大相場によって個人資産を莫大な金額まで膨らませることに成功した投資家は、多くの金言を残しており、そこから学べることは多い。

ここでは、最後の相場師と称されている是川銀蔵(これかわ・ぎんぞう)氏の名言を紹介したい。名言は以下「投資五箇条」とよばれているものである。

(1)銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ
(2)二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ
(3)株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
(4)株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
(5)不測の事態などリスクはつきものと心得る

この5つの名言を知ることで、株式投資の成功に何が必要なのかが多少なりとも見えてくるはずだ。まずはこれから銀蔵氏の人物像から見ていくことにしよう。

●参考「最後の相場師 是川銀蔵」木下厚 著(彩図社)

是川銀蔵氏とは? 200億円以上の資産を築いた大投資家

是川銀蔵,最後の相場師
(写真=PIXTA)

世紀の相場師や最後の相場師とも呼ばれる是川銀蔵氏は、貧しい漁師の家庭に生まれた。10代の若い時から通貨の交換比率に目をつけた商売で財を成し、紆余曲折の人生を経て、34歳にして初めて株式投資の世界へ。株式投資の知識は3年間図書館で経済専門書を読むなどの独学によって身につけたようだ。

誰も目をつけていない株式を少しずつ買い集め、長期投資のスタンスで投資を行う。また仕手戦などでも注目される。90代に成るまで株式投資を続け、一時期は200億円以上の資産を築いた大投資家である。

投資五箇条

(1)銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ

株式投資は銘柄を選定することがすべてであると言っても良いが、「銘柄を選ぶのは人が奨めるものではなく、自分で選ぶべし」とのこと。

最近ではツイッターなどで資金力のある投資家が銘柄をツイートし、その銘柄の株価が上がることが多い。しかし、人が奨める銘柄はあくまで参考程度に。自分の虎の子の資産を投資する際には、自分の目で見極めた投資先を選びたいものだ。そのためには自分で徹底的に相場の研究を行うことが大事だ。

(2)二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ

株式市場における大局観は、目先の小さな利益を求めるのではなく、数年先に得ることができる大きな利益を獲得するための考え方・視点を指す。短期で資産を増加させようというのではなく、あくまで長期的で幅広い視野を持って投資に臨むことが大切である。

(3)株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物。

多くの投資家から注目され上昇した株はどうしても引き続き上昇するような気がしてしまうものである。しかし、値上がりしすぎた株には調整が入ることもあり、高値でつかんでしまう危険性があることを忘れてはならない。株価の適正水準や暴騰株の過去の値動きなどを学ぼう。

(4)株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。

株価は人気投票である。人間の資金が入り込む商品であるため、業績を無視した値動きが頻繁に起こる。赤字の会社の株が時に暴騰したり、上場廃止が決まった株式が急に暴騰を開始するのも腕力相場の特徴である(最近だと上場廃止の決まったタカタ株が17円から150円まで暴騰した)。業績が最終的にはものを言うことを忘れずに、暴騰株などを扱う際には注意しよう。

(5)不測の事態などリスクはつきものと心得る。

相場においてはいつリスクが起こるかは誰にもわからない。また個別の企業においても絶対安心な優良株はないことを心得ておきたい。業績悪化のリスク、地政学的のリスクなどはつきものであることを前提に株式投資を行いたい。

過去の相場師・投資家から学ぶ姿勢を

過去の相場師や投資家は投資に役立つ名言を残していることが多いが、その人の生き方そのものが投資に役立っていることも多い。

例えば是川氏もアメリカの大投資家ウォーレン・バフェット氏も若かりしころ、株式投資を始めるまえから商売の才を見せていたことは有名だ。また是川氏は世紀の相場師ジェシー・リバモア氏のように、財産を守るのではなく、いつまでも攻める姿勢を忘れなかったようだ。

ついでにいえば成功する投資家には性格的にもどこか普通の人とは異なる型破りな面があることも事実である。投資のセンスのみならず、生き方や考え方も学んでみたいものだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある