今回は、「なぜ、円高・円安になるのだろう。」ということをお話していきたいと思います。「円高で輸出企業に大ダメージ」や「円安でガソリン価格が高騰か」といったようなことを新聞紙面上やTVなどで目にしたことが一度のみならずあるのではないでしょうか。
円高・円安は私たちの生活に大きな影響を与えるものです。もちろん、金融市場に直接参加していない私にとっても円高・円安は他人事ではありません。しかし、どうして円高・円安が引き起こされるのかをきちんと理解できているのでしょうか? 簡単に「円高・円安っていまいち分からないんだよなあ。」という方のために簡単にご説明いたします。 ハンバーガー一個100円が130円になったら、値上がりしたなあと思われることでしょう。これを「ハンバーガー高」というとしましょう。これと同じことが円にも言えます。
ハンバーガーは円で買いましたが、円は何で買うことができるのでしょうか?
代表的なものがドルですね。1ドルで100円買えていたのに、1ドルで90円しか買えないとすれば、これは「円が値上がりしたな」と思われることでしょう。これが円高です。逆に1ドルで100円買えていたのが、1ドルで120円も買えるようになれば、それは「円の値下がり」であり、円安であるといえます。ではハンバーガーはどうして値上がりするのでしょうか?すごく人気のハンバーガー店。でも一日の数量は限られている。その場合、ハンバーガーの値段が上がりますね。それと同様に、円が欲しい人が増えれば、円の値段は上がります。ドルが欲しい人が増えれば、ドルの値段が上がり、相対的に円の値段が下がります。
つまり、需給バランスが円高・円安を引き起こすわけです。「需給バランス」これが重要です。生活に大きな影響を与える円高・円安は、貿易、資本投資や金利などの需給バランスによって左右されます。それを以下でみていきましょう。
貿易が通貨価格を左右する
例えば、自動車メーカーが、一億ドル分の自動車を海外で売ったとします。国内の工場の維持費や、従業員の賃金は円で支払われなければならないですよね。すると、一億ドルもしくはその一部を円に換えようとする動きが生じます。(もちろん、海外にある工場や従業員にはドルで支払えるので、その分はドルのままで大丈夫です。)
ここでドルを売って円を買いたいという需要が発生します。これは、円高に向かう要因になりますね。つまり、輸出が円高要因になるということです。では輸入はどうでしょうか?日本は資源があまりなく、資源輸入国であります。代表的なものが、ガスや原油ですね。
ガスや原油を輸入したいとき、当然、円ではなくドルで支払われる必要があります。すると、円を売ってドルを買いたいという需要が発生します。つまり、円安に向かう要因となりますね。このように貿易によって、円を売りたい、買いたい(ドルを売りたい、買いたい)という動きが生じるわけです。貿易が円高・円安要因の一つであることをお分かりいただけたでしょうか?
M&Aが円の価値を左右する
近年、頻繁に新聞紙上を賑わしていますね。M&A買収です。日本の会社が海外の会社を買収しようとする際にも円の需給が関わってきます。例えば、S社が海外のB社を買収しようとするときB社株式を買い取って経営権を握るという形になろうかと思われます。そのとき、海外投資家に支払うのは、やはりドルでなければなりませんよね。すると、S社に「円をドルに換えたい」という動機が生まれます。
このとき、日本国内の会社が海外の会社を買いたいというときには、ドルの需要が高まり円安要因になるわけです。海外の会社が日本の会社を買いたいというときは逆の要因、つまり円の需要が高まり円高圧力がかかるわけです。
金利がお金の流れを決める
想像してみてください。日本の普通預金金利が0.02%だとします。その時、アメリカの金利が1%だとします。為替手数料(ドルから円に、円からドルに換金するときの手数料)や、相場については考えないとしてください。どうしますか?
私なら、ドルを買ってドル預金をします。つまり、ドルの需要が高まり、円安に向かう要因となりますね。例えば、あなたが外貨預金をするとすれば、円をドルに換える必要がありますよね。すると、ドルの需要が高まり、円安に向かう要因となります。外国の株や投信を買おうとするときも同じ仕組みが働きます。個人投資家の厚みが増してきています。一人一人の投資金額は金融市場全体からすると微々たるものでも、集まれば大きな力になります。投資ではないですが、あなたが海外旅行に行こうとするときに、円を外貨に換えようとすると思います。こういった個人の行動も為替を左右する力の一つであるわけです。
おわり
なぜ、円高・円安になるのかを簡単にみてきました。実際には輸出入一つとっても、為替予約をしている等、金融技術の発達とともに様々な金融取引の手段が生まれてきていて簡単に「こうなればああなる」式で為替を語ることは難しいこととなっています。
金融市場の厚みが増してきている昨今、市場参加者はあの手、この手で不測の事態を避けるような手段を講じてきています。しかし、そのような複雑な金融市場においても為替の基本はやはり今回述べたような様々な取引であることは間違いがないことです。今回は話を簡単にするために、円とドルの取引という形でみていきました。このグローバル社会においては通貨価値は様々な通貨との関係において相対的に決まります。ひとつひとつの取引が為替を決めているには変わりないですが、全体としてみた場合、為替を決めるのは「国力」といったものなのかもしれません。
本稿を足掛かりに皆様がより深く為替取引について学ばれますように。どこかで躓いたときには、またこの基礎に戻ってみてください。「ああ、そうだったのか。」と新しい気づきが生まれることと思われます。
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