後継者育成問題は、今後の企業成長のためには非常に重要な課題となっている。中小企業庁が2016年にまとめた「事業承継に関する現状と課題について」によると、中小企業経営者の年齢のピークは66歳だ。一方で、中小企業経営者の平均引退年齢は67.7歳、小規模企業者では70.5歳となっている。

つまり、今後数年間のうちに引退時期に差し掛かる経営者が多く存在するわけだ。企業成長のために欠かせない経営者の要素とは何か、事業承継によって企業を成長させている後継者にスポットを当ててみる。

どうする?後継者の育成

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(写真=Denphumi/Shutterstock.com)

経営者であれば、企業を今後も存続させたい・経営者が変わった後も順調に企業を発展させていってほしいと考えるだろう。そのためには後継者の育成が必要であるが、人の育成に時間がかかることは明白だ。

そもそも事業の承継には実に多くの要素が詰まっている。この要素を大きく分けると3つに分けることができる。

1. 人(経営、経営権)の承継

2. 知的財産の承継
経営理念や知的財産権、顧客情報、さまざまな人脈や信頼関係、技術や技能、ノウハウなど

3. 資産の承継
株式、資金(事業を運営していくための資金や借入れなど)、事業に必要な資産(設備や不動産関連など)

上記の3つの要素を確実に後継者に引き継いでもらうためには、早い段階で後継者の選択をするのはもちろんのこと、育成のために適切な期間を設ける必要がある。今後の企業成長にとって重要なキーマンとなる後継者は、一体どのような特徴があるのだろうか。

企業を成長させる後継者の特徴とは

事業承継のための後継者として、主に親族内承継・親族外の社内の人間への承継・社外の第三者への承継があげられる。中小企業庁の調べによれば、直近10年間における親族内承継の割合は激減し、その代わりに社内の人間や第三者など親族外承継が6割を超えている。

親族内承継が減少している理由としては、子どもが事業を継ぐ意思がない・子どもがいないなどといった理由も多くみられるものの、後継者として適切な人材を選びたいということも少なからず関係している。

2004年度版の中小企業白書において、承継した経営者が先代経営者と親族外である場合の方が、親族外承継をした経営者よりも承継後5年以内の従業員数成長率は高いことが触れられている。さらに他社就業経験のある経営者の方が、経験のない経営者よりも従業員数成長率が高いことも示されている。

親族内承継のすべてにおいて、成長率がマイナスになるということではない。しかし、事業承継によって社内に新たな風を吹かせ、企業をブラッシュアップさせるためにも親族外承継は有効であろう。

有名企業の後継者はどんな人

事業承継によって企業を大きく成長させることができた企業は、少なからず存在する。有名企業の後継者の主な特徴として、以下の4つがあげられる。

・ 社長としての自覚やリーダーシップ
・ 既存の事業内容にとらわれない新しい戦略を具現化する能力
・ 机上の空論になることのない有言実行能力・目標達成能力
・ 財務や会計などの実務能力はもちろんのこと、社内外における優れたコミュニケーション能力

上記を総合すると、後継者にはある部分に特化したプロフェッショナルであるよりも、幅広い知識を持ったゼネラリストであることが求められる傾向がある。

有名企業の後継者とは、すでにある程度の資質を備えていることもあるだろうが、後継者の育成をしていく段階で自らが勉強することを惜しまず、経験を無駄にすることなく成長していくアグレッシブさを持っているといえるだろう。

企業の成長と後継者育成

企業の将来を明るく照らしてくれる後継者を早い段階から計画的に育成していくことは、企業の成長のために必須の重要事項である。自分自身の会社に愛着がある経営者ほど、後継者選びのタイミングが遅くなりがちである。

しかし、自社や従業員たちの今後を考えれば、できる限り早く後継者育成について考えるべきだ。後継者育成は、経営者自身・経営者の周囲の従業員双方が考えていく必要があるだろう。(提供: 百計オンライン

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