◉シェール革命を取巻く状況〜その他の国々〜


ここまで、シェール革命の中心地であるアメリカの状況を見てきました。ここからはその他の国々や地域の状況を見て行きます。

◯中国

中国では、シェールガスの潜在埋蔵量が世界最大といわれています。
そのため国内外から注目を集めており、クレディスイスは「2020年代には、中国のシェールガス生産がアジアの市況を一変させる可能性がある」と述べている程です。
昨年(2012年)、欧米の資源メジャーと組んで、試掘も開始されました。

ただ、シェールガスはその採掘に大量の水を必要とするのですが、中国ではシェールの埋蔵所が水源地から離れており、採掘に必要な水野確保が課題となっているようです。

◯ロシア

天然ガス等の資源を主要産業とするロシアは、残念ながらシェール革命によってマイナスの影響を受けています。
米国内でのシェールガスの増産により、それまで米国向けに製造されていた比較的安価な中東産の天然ガスが、欧州の市場に流れ込むようになりました。
その結果、割高なロシア産の天然ガスは欧州市場から追いやられ、ロシアの欧州への政治的影響力にもマイナスになる可能性が指摘されています。
(その事はプーチン政権の弱体化にも繋がる可能性があります。)

◯欧州

欧州でのシェール革命への取組みは、国ごとに大きな差があります。
英国やポーランドなどは開発を促進していますが、フランスなどは、採掘時に化学物質が使われることなどから環境への影響が大きいとして、禁止措置を取っています。
シェールガスの採掘には、大量の水や化学薬品を使う「水圧破砕法」という採掘方法が一般的なのですが、この手法では環境に与える影響への懸念が大きいためです。
フランスだけでなくブルガリアなども禁止や暫定的禁止の措置をとり、ドイツも慎重姿勢を崩していません。

ただ、欧州はロシアへの天然ガス依存が高いため、ガス資源の供給源が多様化されることは大きな魅力となっています。また開発に成功し、天然ガスの価格が下がれば、景気低迷に悩む域内経済の競争力強化も期待できます。
欧州委員会のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は、「環境への負担回避を前提に、このテーマに集中的に取り組む」との考えを示しています。

以上、本日はシェール革命が世界の主要な国・地域へ与えている影響などを見てきました。
次回以降、シェール革命によって大きな影響を受ける産業や主要企業、また日本経済への影響に関する話題をお届けします。

BY TOMB

photo credit: nestor galina via photopin cc