国内石油業界の再編が目下進行中だ。ここ数年の石油価格下落による業績の落ち込みや、再生可能エネルギーなどの代替エネルギーに世界的な注目が集まっていることから、石油単体での事業の将来性に危機感を持っているためだ。
石油関連企業はそうした閉塞感のなかで合併など企業再編によって立て直しをはかろうと必死だ。過去にはJXホールディングスと東燃ゼネラル石油の合併が話題となった。
そのような中で、出光興産と昭和シェルの合併の行方が注目されている。両者の合併に関しては、いくつかの問題が生じている。合併反対を主張する創業家と出光興産の対立問題、そして出光興産の公募増資問題である。
出光興産の公募増資問題 既存株主への影響
出光興産と創業家の対立は数年前から続いているが、出光興産が新株を発行する公募増資の実施を行うことを決定した。公募増資が行われると、創業家の持株比率が下がり合併への直接的な反対票を投じることができなくなるため、創業家は反対票を投じることを防ぐための不正な公募増資であることを主張し裁判所に公募増資の差し止めを求めた。しかし、東京地裁は7月18日に請求を退ける判決を出している。これを受けた出光興産側は20日、4800万株の新株発行を予定通り行った。
出光興産、昭和シェルの合併の実現へと一歩近付いているようだが、創業家の持株比率が希薄化する以外に、既存の株主にとって不利益となることがある。それが次に述べる株式の希薄化である。