前週(7/31〜8/4)の東京為替市場で円は4週連続の円高となり、4日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは110円09銭で終え、週間で1円03銭の円高だった。ドル円の週間高値は8月2日の110円80銭、安値は8月109円90銭。

米経済指標に予想を下回るものが多く、景気後退懸念からFRBの低金利政策が継続するとの思惑でドル安が続いている。先週も米ISM非製造業景況感指数、自動車販売、PCEデフレーターなどが予想を下回り円安が進んだ。

もっとも、週待つ発表の雇用統計は予想を上回りドルが買い戻されるきっかけとなった。雇用統計後にNY市場でドル円は一時111円をつけ、110円75銭と円安で引けている。今週も米景況感が最大の材料だが、今週はイベントや経済指標で重要なものが少ない。日本の政局や消費税問題が為替を動かす要因になる可能性がある。

前週(7/31〜8/4)の振り返り

為替展望
(写真=PIXTA)

31日の東京為替市場で円は2連騰、17時のインターバンクレートは110円64銭と前週末比48銭の円高になった。

米4〜6月GDPが2.6%増と予想の2.7%増を下回りドル安・円高が進展、110円50銭でのもみ合いとなった。FRBインフレ指標として重視するPCEデフレーターも前期比0.3%増とインフレの鈍化傾向がでている。東京市場でも米長期債利回りは2.28%付近で横ばいとなっておりドルは買いづらい状況だった。

1日の東京為替市場で円は3連騰、17時のインターバンクレートは110円21銭と前日比43銭の円高だった。

トランプ大統領が広報部長のスカラムッチ氏を解任と伝わり、米政治懸念から110円20銭台へ円高が進行した。一時110円01銭まで円高が進んだが大台替わり前に反落した。米長期債利回りが2.30%付近で横ばい推移となりドル買いは仕掛けづらい。

2日の東京為替市場で円は4日ぶりに反落、17時のレートは110円80銭と前日比59銭の円安となった。

NY市場で7月の自動車販売が不振で米景気の減速懸念からドル円はNY市場で一時109円95銭まで売られた。一旦110円割れとなったことで、ドルは一旦利益確定の買いが入り始めた。東京市場でもその流れを引き継いで円安が進行した。日経平均が2万円回復したこともあって円は一時110円90銭台まで売られたが、米長期債利回りが2.26%付近で伸び悩んだことでドルの買い戻しは一服した。

3日の東京為替市場で円は反騰、17時のレートは110円65銭と前日比15銭の円高だった。

米ADP雇用統計が予想を下回ったが、4日の雇用統計待ちで為替相場の反応は限定的だった。もっとも、ユーロ買いは継続し、ユーロドルは一時1.19ドルまで上昇し、15年1月以来の高値更新となった。ユーロ高・ドル安が継続するのなら、円はクロス円で円高圧力がかかる可能性が高い。日中のドル円のレンジは26銭と集中で一番の小動きだった。

4日の東京為替市場で円は2日続騰、17時のレートは110円09銭と前日比56銭の円高だった。

NY市場で、米ISM非製造業景況感指数が低下、米政権とロシアの関係を再調査すると報道もあり、米長期債利回りが2.23%に低下し、日米金利差の縮小の思惑でドル円は109円台になった。東京市場でも109円台で始まり、一時109円85銭の円高値をつけたが、その後は雇用統計待ちで小動きだった。

先週の海外動向を振り返る

8月4日の米国市場では、注目の7月の雇用統計の発表後に円安が進行、一時は7月28日以来となる111円05銭をつけた。非農業部門雇用者数は前月比20万9000人増と市場予想の18万人を上回り、失業率は4.3%と改善、平均時給上昇率は前月比0.3%と拡大した。

雇用統計を見る限りでは米景気に失速懸念は少ないため、米長期債利回りが2.27%に上昇し、ドルは買い戻しが先行した。もっとも、NYダウが金利の上昇にもかかわらず8日連続で過去最高値更新しているのを見て、ドル円は111円台からは上げ幅を縮小し110円75銭で引けた。

「8/7〜8/11」の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、109円85銭から111円39銭のレンジを想定している。

今週も米景況感が最大の材料。経済指標が強ければドル高、指標が弱ければドル安になる傾向は続く。だが、今週はイベントや経済指標で重要なものが少なく、為替市場は方向感が出ない展開になりそうだ。

円の懸念材料である国内政治問題については、3日の新内閣に大きなサプライズはなかったが、週末の大手新聞各紙の調査では支持率が小幅ながら回復している。政治的に不安定だと、日本株安、円高の圧力がかかるため、今後の政局、内閣支持率の動向には注目。

週末のTVのインタビューで安倍首相は19年10月の消費増税は予定通りだと語った。一部には景気刺激策として消費税見送り、もしくは減税を期待しているエコノミストもいただけにネガティブ視される可能性もある。消費税引き上げなら日本の景気は後退する可能性が高く、一般的には円安要因。

テクニカルでは、ドル円のサポートは8月4日高値の109円85銭、それをブレークした場合は6月14日安値の108円84銭が次のサポート。レジスタンスは90日移動平均の111円39銭と日足の一目均衡表の雲の下限がある111円36銭あたりがレジスタンス。ブレークすれば一目均衡の基準線の112円21銭がターゲット。

今週は重要なイベントは、7日にOPEC加盟国・非加盟国専門家会合(~8日)、10日にダドリーNY連銀総裁講演がある。11日は日本が「山の日」で休場。米議会は8月14日から9月4日までは米国上院休会になる。米議会関連の重要な案件はしばらくない。

経済指標は、日本では7日に6月の景気動向指数、8日に6月の経常収支、7月の景気ウォッチャー調査、10日に6月機械受注がある。機械受注では7~9月の内閣府の見通しも発表されるため注目度が高い。

海外では8日に中国7月の貿易統計、10月に中国7月の新規銀行融資、11日に米7月消費者物価指数がある。重要統計は少ない。(ZUU online 編集部)

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