ここ数年、不動産投資がサラリーマンや個人投資家から注目を集めている。2013年から始まったアベノミクスによる景気拡大の影響や、2020年に東京オリンピックを控えている等、日本国内における土地や不動産の価格が上昇基調にあることがその背景として挙げられる。

不動産投資は大きく分けて、マンションの一室に投資する「区分所有投資」と、マンションを丸ごと投資する「一棟投資」がある。東京都内の物件を考えると、ワンルームマンションでも数百万円から数千万円にのぼるものまで存在するため、いずれにせよ投資資金の側面から誰にでも手軽に投資できるものではないだろう。そこで現物不動産への投資以外に不動産へ投資できる「不動産投資信託(J-REIT)をご紹介しよう。

J-REITとは

REIT指数,配当利回り
(写真=PIXTA)

J-REITは、多くの投資家から集めた資金を投資法人が不動産等に投資し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に配当(正確には分配)する仕組みになっている。多くの投資家から資金を集めて株式等で運用する投資信託(ファンド)があるが、投資対象を不動産に絞っているため、不動産版の投資信託と言えばわかりやすいだろう。

株式市場の全体像を把握するための株価指数として、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)があるが、J-REITにも同様に「東証REIT指数」が存在する。東証REIT指数は東京証券取引所に上場するREIT全銘柄を対象とした時価総額加重型の株価指数だ。日経平均株価同様、東証REIT指数の価格の動きはチャートで見ることができる。

J-REITの魅力の一つとしては、配当利回り(分配金)が挙げられる。マイナス金利政策が導入された日本では、円預金では超低金利の状況が長く続いている。しかし、J-REITでは、多数の物件から安定した賃料収入が期待できる他、マイナス金利状況下による借入コストの低下等から経営環境も良好と考えられるため、安定した分配金が期待できる。

しかし、東証REIT指数の価格の動きを見ると、2017年に入ってからは下落傾向にある。2015年には2000ポイントを超える時もあったが、2017年に入ってからは1700ポイントを割り込む動きもある。2015年から見れば15%程度も下落したわけだが、世界的な金利上昇や不動産の供給過剰等が懸念材料として価格下落の要因として挙げられる。

価格が下落しても、予定されている配当金に変更がなければ配当利回りは上昇することになる。東証REIT指数の価格低下を受けて、東証REIT指数の平均配当利回りは2017年7月末現在、およそ4%程度まで上昇している。銀行での定期預金と比べると、高利回りのインカムゲインの金融商品として検討しても悪くない水準だ。

J-REITの売買方法

J-REITは株式と同じように、成行注文や指値注文といった注文方法を利用して、自分で好きなタイミングで取引することができる。投資信託とは異なり、手軽に自分で取引できる点が魅力とも言える。

例えば、ホテルチェーンとして多くの人から支持を集める「星野リゾート」がある。星野リゾートも「星野リゾート・リート投資法人」というJ-REITとして上場していて、 <3287> の4桁の証券コードが割り振られている。

どのようなJ-REITがあるのか知りたい場合は、日本取引所グループのホームページで、REITの銘柄一覧を参考にしてほしい。

日本取引所グループ: REIT銘柄一覧

J-REITが株式市場に上場しているということは、その価格は株式市場が開かれている間は時々刻々と変動していることになる。そのため、買った後に価格が上昇することもあれば、下落する場合もある。価格が変動するリスクは常に存在するため、チャートを利用して過去の価格の動きを参考にして、売買するタイミングを分析して取引しなければならない。

配当利回りが高いからと適当にJ-REITを購入すれば、価格がさらに下落してしまい、含み損を抱えることになりかねない。また、現在はマイナス金利政策で超低金利の状況ではあるが、今後金利が上昇すれば、借入金利の上昇等によって業績が悪化すれば、価格が下落する要因にもなりかねず、分配金が減少する可能性も否定できない。金利動向や不動産の需給等、様々な経済情勢に注意を払わなければならない金融商品だということを覚えていただきたい。

J-REITのおかげで、不動産への投資が比較的無理のない金額で可能になったことは確かだ。分配金が支払われる時期はJ-REITによって異なるため、選ぶJ-REITによって分配金の受取月をずらすことも可能だ。J-REITでインカムゲインを毎月コツコツ狙う投資法を検討してみても面白いだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。

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