今年の気象予報の変化とエルニーニョ現象の特徴
世界的な異常気象をもたらす「エルニーニョ現象」が、今秋に発生する可能性が高くなったと気象庁は7月10日に発表しました。同庁は6月時点で今夏に本格的な規模で発生すると予想していましたが、秋に発生し、冬にかけて続く見込みと予測を変えました。エルニーニョ現象の発生が秋にずれこみ、今夏の平均気温は東日本などで平年より高くなり、西日本や北日本では平年並みです。
エルニーニョ現象は、南米のペルー沖から太平洋の赤道の日付変更線付近の広い海域で水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年以上続く現象です。同現象は世界各地の気候に影響しますが、日本においては冷夏や暖冬をもたらし、四季の特徴を弱める傾向にあります。5年前の2009年の夏に起きたエルニーニョー現象では、日本の各地で冷夏や日照不足、豪雨や梅雨明けの遅れをもたらし、冬は日本全体で暖冬になりました。今回の記事では同現象が夏から秋にずれこむことによる、日本経済全体の消費への影響について考察します。
エルニーニョ現象がもたらす日本経済への影響
エルニーニョ現象が夏に到来すると、日本経済全体で見れば消費に悪影響を及ぼすことが一般的に知られています。同現象の発生により冷夏がもたらされ、主に季節性の高い商品(夏物衣服や履物、海水浴、エアコン、ビール、清涼飲料水など)の売上が落ち込みます。
また、天候が良くなければ外出の機会も減るので、交際費や夏の行楽等の消費にも悪影響を及ぼします。過去にエルニーニョ現象が起きた年の夏は、消費支出全体で前年比マイナスとなりました。