前週(8/14〜8/18)の日本株は、米朝間の緊迫と米政治の混乱に加え、スペインのテロが嫌気され5週続落となった。日経平均の週間の引け値は1万9470円41銭と1万9500円を割りこみ、前週末比259円33銭(1.3%)安で商いを終えた。

1万9500円割れは今年の5月1週以来約3ヶ月半ぶり。5週連続安は、フランス大統領選を控えたリスクオフで今年3月2週から4月2週までの5週連続安となって以来。もし今週も下げるなら、米金融緩和終焉の懸念で6週連続安となった14年の1月から2月まで以来約3年半ぶり。

週間高値は1万9824円12銭(8/15)、安値は1万9433円09銭(8/18)。高安のレンジは391円。日経平均は先々週、2ヶ月続いていた2万0200円と1万9800円のボックスレンジを下離れた。今週は基本的にはジャクソンホール待ちだが、今週早々には25日と75日移動平均がデッドクロスするため、テクニカル的には一段安もありえる状況になっている。

前週(8/14〜8/18)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

14日の日経平均株価は4日続落、前週末比192円64銭(1.0%)安の1万9537円10銭で終えた。日本が連休中に米朝間関係が緊迫、海外で株は下げドル円は一時4ヶ月ぶりの108円台をつけた。

寄り前に発表された4〜6月のGDP成長率は年率4.0%増とコンセンサスの2.4%を大きく上回ったが、材料視されず日本株は全面安となった。日銀は市場サポートの為、733億円のETF買いを入れた。

15日の日経平均は5日ぶりに反発、引け値は前日比216円21銭(1.1%)高の1万9753円31銭だった。北朝鮮問題で、米政府高官からは武力でなく外交による解決を目指すとの発言が相次ぎ、NYダウは135ドル高と急反発した。日本時間には金正恩朝鮮労働党委員長が米国の行動を見守るとの報道もあり、警戒感の後退から日本株にも買い戻しが入った。

16日の日経平均は小幅に反落、前日比24円03銭(0.1%)安の1万9729円28銭だった。前日にリバウンドしたものの、不透明感が強く上値を買う投資家は少ない。東証1部の売買代金は1.88兆円と活況の目安となる2兆円を大きく下回った。

17日の日経平均は小幅続落、前日比26円65銭(0.1%)安の1万9702円63銭だった。米国では7月のFOMCの議事録で、主要メンバーがインフレ率の低下を懸念していることが明らかになった。FRBの利上げペースがスローダウンするとの見方で米長期金利が低下、日米金利差の縮小から円高となり模様眺め気分が拡まった。東証1部の売買代金は1.81兆円と6月26日以来の低水準に沈んだ。

18日の日経平均は3日続落、終値は前日比232円22銭(1.2%)安の1万9470円41銭だった。引け値での1万9500円割れは5月2日以来約3カ月半ぶり。トランプ大統領の人種差別発言をめぐり、米経済界の重要人物などで構成する大統領助言組織が解散された。トランプ大統領の政権運営に対する不信感が高まっている。

スペインでの大規模なテロ事件が発生したこともあって投資家のリスクオフ姿勢は強まった。有事の円高ではドル円は109円半ばをつけた。日銀は733億円のETF買いを入れたが、若干下げ幅を縮小する程度だった。

先週の海外動向を振り返る

NYダウは週間で183ドル81セント(0.8%)安の2万1674ドルで引けとなり2週続落。17日に米政治混乱とスペインでのテロで274ドル安、18日も一時100ドル以上下げていたが、バノン首席戦略官の辞任が伝わると急速に買戻しが入り一時42ドル高に転じた。バノン氏は白人至上主義や移民排斥などの極右思想で知られる大統領の側近で、辞任により米政治混乱が収束するとの期待が膨らんだ。もっとも、買いは続かず引けは76ドル安だった。

ドル安の流れも止まらずドル円は朝方108円61銭と4月19日以来約4ヶ月ぶりの円高をつけたが、バノン氏辞任後ドルは買い戻され109円25銭と先週末の東京の引け比では20銭程度の円安水準で引けた。日経平均先物の夜間取引も先週末の大阪先物引け比20円高と小幅高で引けている。

「8/21〜8/25」の株式展望

今週の日経平均のメインシナリオは、1万9240円から1万9750円でのレンジを想定している。地政学リスクと米政治執行リスクは、簡単に解消しそうにない。北朝鮮の地政学リスクは、ワシントンが核攻撃の範囲内に入ったと言うことで今までとはステージが違う。

北朝鮮では、8月25日の先軍の日、9月9日の建国記念日などの行事があるため、緊張感を完全に解くわけにはいかないだろう。米国の政治不信はバノン氏が辞任しても継続しそうだ。米議会は現在休会中。米債務上限引き上げがまだ承認されておらず、9月5日の議会再開後29日までに承認しないと10月3日には政府の支払いがストップしガバメントシャットダウンになる。米国のデフォルト懸念や納税者のコスト増につながるだけに回避しなければならない。

今週の最大の注目材料は、24日から26日の米ジャクソンホール会合だ。年に1回世界の金融政策関係者が集まるシンポジウム。FRBのイエレン議長とECBのドラギ総裁が講演会を開く。ドラギはテーパリングについては語らないとの報道があったが、両者の発言は今後の世界の金融市場の方向性を決める可能性がある。ジャクソンホール前に相場が大きく動くとは考えづらいだろう。

17日に東証が発表した8月2週の投資部門別売買動向で外国人の大幅な日本株売りが明らかになった。現物株は3週間連続の売り越しで2747億円売り、先物は2480億円売り越した。現先合計では5227億円も売り越している。8月2週は日銀がETF買いの733億円を3回執行したがそれをはるかに上回る外国人の売りだった。外国人がリスクオンに転じない限り大幅な日本株の上昇は期待できそうもない。

もっとも、米国の12月利上げ観測はかなり後退してきている。米FF金利先物による9月利上げ予想はすでにゼロ。9月FOMCでは金利据え置きがコンセンサス。12月の利上げの確率は38%程度まで低下してきている。米国も日本も企業業績は好調なだけに、地政学リスクさえ落ち着けば米低金利継続を背景とした上昇相場に戻る可能性はある。

日本株はGDPなどのマクロ統計も企業業績のミクロ統計も好調で、日経平均のPERは13.8倍と過去のレンジの下限である14倍を割っている。きっかけさえあれば買いが入る下地はある。

テクニカルでは、日経平均は2万0200円と1万9800円のボックスレンジを下離れた。8月9日には日経平均は中期のサポートと考えられる75日移動平均線を割り込んだ。8月18日で日経平均の25日移動平均は1万9927円、75日は1万9922円。今週早々にもデッドクロスが示現されそう。通常25日と75日移動平均のデッドクロスはトレンドの転換を示す。デッドクロスは示現すれば4月6日以来。日経はその後4月17日の1万8224円まで約2%下げた。

サポートは200日移動平均線の1万9242円。200日移動平均は長期のサポートと言われ、割り込むと調整はさらに長期化する可能性もある。上値のレジスタンスは5日移動平均線の1万9638円。これを上回れば8月15日戻り高値の1万9824円がターゲット。

今週の重要なイベントは、21日に日本の民進党代表選告示(投票9/1)、21日~31日まで米韓合同軍事演習、24日~26日まで米ジャクソンホール会合。ドラギ総裁の講演は25日。25日は北朝鮮の先軍の日でもある。

経済指標は、日本では21日に7月の百貨店、コンビニ売上高、23日に7月粗鋼生産、25日に7月消費者物価がある。海外では21日の米7月シカゴ連銀全米活動指数、24日に米7月中古住宅販売が注目される。(ZUU online 編集部)

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