東京を中心にインド料理店が増えている。
これはタウンページが調べたもので、特に人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は東京、2位は山梨、3位は愛知県だったという。
全国のインド料理店の登録件数は、2008年が569件だったが2017年には2162件。10年間で4倍近くに増えている。なぜインド料理店が急に増えたのだろうか。
もちろん「おいしい」からだろうが、理由はそれだけではない
なぜ日本でインド料理店は増えてきているのだろうか。そこには単においしいというだけではない理由があったのだ。インド料理店が増えているその裏の事情とは。その理由を調べてみると以下の4つが考えられる。
1.ヨガに親しむ人が増えている
インド料理を食べようと言うきっかけはヨガであるという人も多いようだ。ヨーガ学研究所代表、小谷能久さん(54)は「いまは健康づくりとしてのヨガブーム。ヨガを始めてからインド料理店に通う人も目立つようです」と述べている。
実際に『ヨガジャーナル日本版調査』によれば、ヨガ人口は「月1回以上行っている人が590万人、年1回以上の実施者は約770万人」であり、「今後のヨガ人口は約1600万人」と推定されており、ヨガを始める人がインド料理にも興味を持っていると言えるだろう。
2.インドに進出する日本企業が増えている
インド料理店が増えている2つめの理由として、インドに進出する日系企業が増えていることがあげられる。在インド日本国大使館によると、インドに進出した日系企業数は2016年には1305社あり、2006年の267社から10年で約4.8倍に増えているインドと日本の関係は良好であり、インドに行ったことがある日本人が、日本に帰った後もインド料理を食べていることが、インド料理店が増える一因となっている。確かにインドを何度が訪れていると、インド料理を食べたいと思うことはある。それほど魅力的な料理であるのは確かだ。
3.出店コストが安い
インド料理店が増える理由として、出店コストが安いことを指摘している識者もいる。経済評論家の平野和之氏によれば、ラーメン店などの出店コストに比べ、「インドカレー店は1000万円程度で、居抜きで安くあげれば数百万円程度」だと言う。こうした安い出店コストもインド料理店増加の原因のひとつと言えるだろう。
4.インド人が料理しなくてもお店が出せる
インド料理なのだからインド人が料理をしているかというと、そうではない店も多い。スリランカ人やパキスタン人、ネパール人が実際に料理をしていることが多いのだ。
インドに滞在経験のある筆者もよく店員にインドのどこから来たのか質問するのだが、たいていが「インド出身ではない」という答えだ。オーナーはインド人だと言われることがあるが、作っているのはインド人ではないことのほうが多い。こうした現状はなぜ起こっているのだろうか。
インド人が料理しないインド料理店が増える理由
インド人が日本に来ることも増えてはいるが、インド人にはIT企業関連の人が多い。それに比べて、特に最近増えているのはネパール人だ。ネパール人もカレーを作るのは問題なし。
しかもネパール料理よりもインド料理とした方が売れるとあれば、たとえ、ネパール人が作っていたとしてもインド料理として出店することが多いのだ。日本に在留しているネパール人は2016年6月末時点で6万0689人、前年比10.8%増である。東京工業大学留学生センターの佐藤由利子氏によれば、こうした背景には国内の混乱と海外移住の第一段階としての留学生の増加が原因だと言う。
しかも、こうしたビザを取得するためのブローカーが存在しているという。一般社団法人社会貢献推進国際機構理事長の児玉克哉氏によれば、100万円程度の金額で日本での労働ビザを取得してくれるブローカーが存在しているそうだ。
ただネパール人にとっては100万円も高額。それでも日本で働いて一旗あげたいという人が多いと言える。こうしたやり方は何もインド料理店に限ったことではなく、中華料理店でも中国人や台湾人のシェフが作っていないこともある。労働ビザを取る手段として料理人は便利なのだ。
インド料理店は増えているのは単に味が良かったり、日本人がインド料理を好んで食べるようになったりしただけではない。インド料理店で料理を作ることを表向きの目的にして、日本の労働ビザをとるネパール人などが増えてきていることも理由の一つのようだ。(ZUU online編集部)