消費税開始から現在まで
日本では消費税は、1988年に「消費税法」が成立し、翌89年に税率3%で施行されました。しかし、このときはバブル真っ最中。世の中にお金があふれていた時代です。このため、消費税導入は比較的スムーズに進行しました。しかし、問題は97年の5%への引き上げ時でした。この時はバブルも崩壊し、日本は大好景気から一転して今に続く不景気で、世間が期待した駆け込み需要も盛り上がりませんでした。私たち消費者からすればもともと不景気なところに来てさらに高価になるのですから、財布のひもが固くなるのも当然でしょう。
そして、今回の増税ですが、残念ながら97年とほとんど近い状態のようです。アベノミクスの効果なのか、最近は好景気を思わす雰囲気もあります。また、業種によっては駆け込み需要で、一時的に売り上げが上がっているところもあります。しかし、まだまだ不景気な世の中です。全体的にみると増税後の経済活動は一時的に低迷するでしょう。
そもそも消費税とは?
日本の場合の「消費税」とは、消費に対して課される租税のことを言います。これは、「消費税法に規定する消費税」と「地方税法に規定する地方消費税」の二つを合わせた総称です。また、お酒やたばこなどの嗜好品にかけられる税金とは別にされたいわゆる一般消費税のことを言います。欧米ではすでに19世紀から似たような概念の税制度があったようですが、現在いう消費税を初めて導入したのはフランスでした。
所得税などの直接税に適応されるため、所得の多少で税率が変化しますが、消費税は、収入が多い人でも、無い人でも消費する際に同じ税率で課税されるため、所得が低い人ほど負担が大きくなるという問題があります。このため、導入にあったっては、10年以上にわたって議論が行われたが、結局、財政難ということから導入されました。しかし、国民の経済的な負担が大きいことから、今でも反対する意見が多く存在します。
消費税8%が与えた経済活動への影響とは
今回の増税で、たとえば、これまで100円の商品やサービスといった対価に対して5円の消費税がかけられていましたが、それが8円になったのです。仮に1万円の対価であれば800円も税金を取られるのです。これでは、消費者、販売側ともに大きな影響があるのは当然です。
そして、増税の影響が大きいのは中小企業のようです。日本商工会議所が2014年4月25日から5月29にかけて各地の商工会議所管内の中小企業3191件 を対象に行った調査によると、消費税引き上げ分の転嫁の状況は10.5%の中小企業が「全く転嫁できていない」と回答しています。「一部転嫁できている」事業者の26.8%と合わせると、実に37.3%の事業者が増税にうまく対応出来ていないことになります。
また、売上高が低いほど、「転嫁できていない」との回答が多かったようです。前回の5%への引き上げ時の調査では、一部転嫁できているが21.3% 、ほとんど転嫁できなかったが38.6%と、今回に比べて苦しんだ企業ははるかに多かったようです。しかし、今回も約4割の企業が増税によって経営が苦しくなっているのです。これ加えて、人手不足の影響も大きく、中小企業の倒産が相次いでいるようです。