株式投資等の売却益が非課税となる「NISA制度」を利用している個人投資家も多いことだろう。しかし、マイナンバーを2017年9月30日までに提出しないと、2018年以降、NISA口座を利用した取引が行えなくなる可能性があることはご存知だろうか。NISA制度概要を確認した上で、来年以降もNISA制度を利用するために必要なことを確認していこう。

そもそもNISAとは

NISAとは2014年から始まった少額投資非課税制度のことで、NISA専用の口座を開設する必要がある。

NISA専用の口座を開設すると、

(1)毎年120万円を、
(2)最長5年間まで、
(3)投資総額最大600万円まで

投資することができる。

通常であれば売約益に対して20.315%の税金がかかるが、NISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税となる。

特定口座や一般口座であれば、株式投資等で損失が発生した場合には利益と損益通算することができるが、NISA口座で購入した株や投資信託等の損失は、特定口座や一般口座の株式等の利益と損益通算を行えないというデメリットがある。

加えて、2016年からは、未成年を対象にしたジュニアNISAも始まった。

ジュニアNISAでは、

(1)0~19歳までの未成年者であれば、
(2)年間80万円まで

投資を行うことができる。

ジュニアNISA口座の投資枠で発生した利益に対しては、NISA口座同様、非課税にすることができる。ジュニアNISAの場合も、特定口座や一般口座の株等と損益通算を行えない他、原則18歳まで払い出しができないというデメリットには注意が必要だ。

毎年の投資金額が少ないため、NISA口座を活用して投資する際には工夫が必要になる。筆者の場合は、中長期保有を前提とした株主優待の1単元取り銘柄口座としてNISA口座を利用することが多い。

例えば、子供が一人いる3人家族の場合、子供名義と夫婦名義とで、少なくとも3名分のNISA口座が開設できる。80万+120万+120万で、一年間に最大320万円の投資枠を確保することができる。

さらに、2018年1月から始まる積立NISAでは、
(1)年間40万円まで、
(2)利益に対しては20年間非課税
で投資することができる。

なお、積立NISAで購入できる投資信託には基準が設けられ、事業者は金融庁への届け出が必要である。「NISA」と「つみたてNISA」の併用は不可能で、自分で選択する必要がある。また、NISAからつみたてNISAへのロールオーバー、つみたてNISAからNISAへのロールオーバーも制度上認められていない点はおさえておきたい。

2018年以降もNISA口座を利用するために

NISA口座では、2014年から2017年までの4年間の第1期間と、が2018年から2023年までの6年間の第2期間の勘定設定期間に区切られている。勘定設定期間ごとにマイナンバーの手続きが必要になる。2018年以降もNISA口座を利用する場合には、マイナンバーを提出する手続きが2017年9月30日までに必要だ。マイナンバーを提出している人と、未提出の人で対応策を見ていきたい。

まずNISA口座を利用している金融機関にマイナンバーを提出しているのか、それとも提出していないのかを確認したい。すでにマイナンバーを提出している人や、マイナンバーを2017年9月30日まで提出できた場合にはNISA口座は自動的に延長されるため、そのまま2018年以降もNISA口座を利用することができる。

一方、マイナンバーを2017年9月30日まで提出しない場合には、2018年以降、NISA口座を利用した取引が行えなくなる可能性もある。2018年以降も同じ証券会社等でNISA口座を利用するためには、マイナンバーの提出に加えて、税務署が発行する「非課税適用確認書の交付申請書」の提出を行わなければならない。提出する書類が増える分、手間が増えることになる。これらの提供等を行わなかった場合、NISA口座の利用ができなくなる。

中には、NISA口座を開設している金融機関から、違う金融機関に変更したいという投資家もいることだろう。この場合には、新たに利用を検討している金融機関にマイナンバーの提出を行うことになる。ただし、NISA口座内ですでに保有している株式等の資産については、非課税期間が終わるまでは課税はされず、売却することができる。

マイナンバーの提出期限まで期間はわずかになった。2018年以降もNISA口座を利用する予定なのであれば、マイナンバーが提出されているかを確認しておこう。今からの手続きでも遅くはないはずだ。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行( http://yokoyamarika.com/3_hp1 )、講演活動、株塾を行う。