昨日のマーケット動向としては、今月3日に核実験を行った北朝鮮が、8月29日に続き大陸間弾道ミサイルの発射を準備中との報道が相次いだため、リスク回避の円買いが強まり、ドル円を中心にクロス円は下値を模索する動きが強まりました。
決定的だったのが、北朝鮮の韓・駐ジュネーブ国際機関代表部大使が「米国はさらなる贈り物を受け取ることになるだろう」との発言。この発言が引き金となり、円買いが更に強まりました。NY時間に入ると、リスク回避の円買いに加え、米国の経済指標の悪化が意識され、シンプルにドル売りの動きも強まり、ドル円は心理的なサポートラインである109.00円を下抜け、108.60円台までドル売り円買いが進みました。
米・7月製造業受注(前月比)が-3.3%と2014年8月以来最大のマイナス幅を記録し、かつ、米・7月耐久財受注(確報値)が-6.8%と大幅に予想を下回ったことを受け、米10年国債利回りは2016年11月10日以来の2.05%台に低下したことも、ドル円の上値を重くした要因として考えられます。
ユーロドルについては、NY時間にドル売りの動きが強まったことをきっかけに、一時1.1940ドル台まで上値を拡大しました。1.200ドルが徐々に意識される水準まで切り上がってきており、7日のECB理事会を前に、投機的な仕掛けがあれば、1.200ドルを試す動きになるかもしれません。
本日の注目通貨ペアは、ドル円ということになりそうです。109.00円の水準を下抜けてきたこともあり、4/17に示現した108.10円台、8/29に示現した108.20円台が次のサポートラインとして意識されますが、これを抜け更に108.00円の水準を下抜けてくると、これといったサポートラインが見当たらないため、ドル円上昇基調の起点となる2016年11月の106円台が現実味を帯びてきています。
短期的な戦略としては、下抜けてから回復できていない109.00円の水準がレジスタンスラインとして考えられ、109.00円を明確に上抜ける水準(109.30円付近)まではドル円の売り戦略に妙味がありそうです。
本日の東京時間では、昨日の安値を下抜けドル円は一時108.50円台まで下落しています。また、日経平均株価も前日比99.75円安の19,286.06円で寄り付くなど、まだまだリスク回避の円買いの動きが落ち着く気配は見当たりません。
本日の海外時間には、米・7月貿易収支、加中銀(BOC)政策金利発表、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)が予定されています。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ確率は約36%に低下、一回目の利上げの確率が50%を超えるのは2018年6月になっています。(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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