昨日のマーケット動向としては、米政府と議会が債務上限の引き上げと政府機関の閉鎖回避で合意したとの報道により、ドル円がこれまでの下落分を取り戻す動きで109円台を回復し、一時109.40円付近まで上昇しました。
東京時間後半からロンドン時間前半にかけて、ドル円が一時108.40円台に急落する場面がありました。背景としては北朝鮮で地震発生との報道が3日以来の核実験実施を連想させたためですが、誤報であることが判明すると、2016年11月以来の2.05%台に低下していた米10年国債利回りが2.07%台に持ち直したこともあり、ドル円は109円台を目指す動きになりました。
ハリケーン「ハービー」の復興予算案と12月15日までの債務上限引き上げおよび暫定予算案について、共和党のライアン下院議長は暫定案に不満を表明しているものの、米民主党が提案した抱き合わせ法案をトランプ大統領は受け入れました。米債務不履行と政府閉鎖が当面回避されるとの期待感で米長期金利は2.10%台を回復し、本日の高値(109.394円当社レート)を示現しました。
ただ、トランプ政権との軋轢が噂されていたフィッシャー・FRB副議長が10月に退任とのヘッドラインが流れると、ドル上昇の動きは小休止となりました。本日の東京時間でも、一部通信社が韓国首相の話として「北朝鮮は9日にミサイル発射の可能性」と報じられ一時円が買われるなど、9日の北朝鮮の建国記念日を過ぎるまではヘッドライン相場になりそうです。
本日の経済指標としては、欧州中銀(ECB)政策金利、ドラギ・ECB総裁定例会見、米・新規失業保険申請件数などが予定されています。特にECB理事会が注目イベントであり、決定は10月以降になりそうですが、今回のECB理事会で資産購入縮小(テーパリング)について検討が開始される可能性が高い。通常であればユーロ高になりますが、前週に足許のユーロ高に対する懸念が当局者の間で高まってるとの報道が一部であったため、本日公表されるECBメンバーの経済・インフレ見通し、そして足許のユーロ高に対する見方が注目点となりそうです。
本日の推奨通貨は上記にあるようにユーロですが、ユーロの動きはECB理事会後に付いていくトレードになるため、それまではサプライズで2会合連続で0.25%利上げを行い政策金利を1.00%に引き上げたカナダドル。カナダドル円で一時90.00円の大台を示現したあとに利食い先行で下押ししているものの、再度前日高値を目指す動きを踏まえた買い戦略に妙味がありそうです。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ確率は約39%に微増、一回目の利上げの確率が50%を超えるのは2018年6月になっています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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