日本のマスコミでは、中国経済は共産党の景気刺激策に支えられて拡大していると伝えているところが多い。その背景には、共産党の人事を決める5年に1度の大会の開催が10月18日に予定されており、政治の安定を図るために景気を刺激しているといった見方である。

今年の経済政策については、3月に開かれた全人代において大方針が決定されている。成長率目標は6.5%前後であり、前年実績の6.7%や、前年の目標である6.5〜7.0%を下回っている。もともと、今年は高成長を追わないと宣言している。

政府活動報告には、今年の経済運営方針を貫くために把握しなければならない点としていくつかが挙げられている。

第1に「穏中求進(安定の中で長期的な改革の前進を求める)」といった経済運営の全体的な基調を貫く。第2に供給側改革を推し進めることを以て“主線(大きなアウトライン)”とする。第3に総需要を適度に拡大させ、その有効性を引き上げる。第4に創造性を発揮し新産業を育てることで、経済成長の新旧エンジンを交換し、経済構造の最適化レベルを引き上げるなどとしている。

今年の経済運営は、成長を追い求めず、経済社会を安定させる。投機を排除しバブル発生を防ぎ、経済の無駄を省き、構造改革を進める。その上で、景気に配慮し、イノベーションを加速するといった順序である。

2017年6月中間期は過去5年間で最高の増収率、増益率を達成

中国共産党大会,中国経済
(写真=PIXTA)

こうした政策の実行がそのまま企業業績に表れている。

8月31日、本土企業の中間決算が出そろった。Wind資訊データによれば、上海、深セン上場A株3344社合計では19.85%増収、16.37%増益であった。2013年から2017年までの中間期の状況だけを比べてみると、増収率は順に8.69%、6.12%、▲0.70%、1.56%、19.85%であり、増益率は11.02%、9.74%、9.37%、▲4.86%、16.37%である。

2017年6月中間期は過去5年間で最大の増収率、増益率であった。中国の上場企業の場合、石油2社、銀行の売上高、利益が突出している。これらの売上高は全体の22.6%、利益は48.8%を占める。特に利益のウエートが大きい。これら2セクターを除いた増益率を見ると26.37%である。こちらは、2015年6月中間期の29.80%増益に次ぐ好業績であった。

セクターではエネルギー、素材、機械、電子部品などが大幅増益