日経平均予想レンジ19,109~19,570円

今週は、北朝鮮の核実験を受け地政学リスクの高まりや円高進行など、外部環境悪化の中、休日明けの米国株式が北朝鮮の緊迫化などを嫌気して大幅下落した流れを引き継ぎ、日経平均は3日続落から5/1以来4カ月ぶりの安値水準19,254円まで売られた。その後は米国株高を好感して19,400円台の戻りを見せたが、円高が心理圧迫となり、押し戻された。

海外の焦点

4日の国連安全保障理事会の緊急会合で、米国を中心に国際社会が北朝鮮への石油禁輸など制裁強化に向けて動く中、5日の国連主催の軍縮会議で北朝鮮は米国にさらなる贈り物を届ける用意があると言明した。市場では9/9の建国記念日を前に地政学リスクの一段の高まりが懸念されている。

5日再開された米議会では、連邦政府の債務上限を3カ月延長し、トランプ政権が要請した「ハービー」の水害被害支援緊急予算が速やかに承認される見通しとなった。政府機関の閉鎖回避に向けた暫定予算の成立(10/1)など課題山積みの米議会だが、災害への対策で歩み寄りが見込まれ、過度な警戒感は一旦和らいだ。

一方で、米国株の高値波乱が警戒されている。米国株は昨年から財政赤字が急拡大する一方、これに逆行する形で株高が続いてきた。

一昨年の上昇相場では、企業収益の改善による税収増で株高。企業収益悪化による税収減で株安が繰り返されてきた。しかし、去年からは企業収益は伸び悩み、社会保障費などの増加で財政赤字は約600億ドルに拡大してきた。

税収が伸び悩んでいるのは、アップルなど海外に収益を滞留させている多国籍企業の存在が指摘される。結果的には、企業収益改善による株高と、財政収支悪化が同時進行した形となっている。今回、先送りされた債務上限問題の引き上げをきっかけに、逆行高が修正されるリスクには留意しておきたい。

国内の焦点

テクニカル面では、昨年11/9以来10カ月ぶりに日経平均は200日線を割り込んだ。200日線割れは相場の分岐点と捉えられ、早期に回復すれば短期的な底入れ感から25日線19,570円を試す戻り相場への期待が高まる。しかし、これを下回ると下値模索から、4/25の窓埋め19,109円や心理的な節目の19,000円が意識されるだけに、方向感を見極める局面といえる。

来週の株式相場

以上、来週は9日の北朝鮮建国記念日、11日の国連安保理の追加制裁採決など、重要イベントを睨み神経質な展開が予想される。日経平均のレンジは上値は25日線の19,570円付近が目処となり、下値は4/25窓埋め19,109円が意識される。

株式見通し9-8

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト