前週末のマーケット動向としては、9月9日に控えた北朝鮮発の地政学的リスクが意識され、リスク回避の円買いが主導する展開になりました。ドル円が108円の大台を下抜け、一時107.322円(当社レート)を示現しました。ただ、結果的には北朝鮮は9日の建国記念日のミサイル発射を見送ったこともあり、今週はこれまでのようなリスク回避一辺倒の動きにはならないと考えられます。
他の材料としては、フロリダ州に上陸したハリケーン「イルマ」は、カテゴリー3に勢力を弱めたものの、テキサス州を直撃した「ハービー」の被害や大地震に襲われたメキシコとの貿易面の悪影響を考えた場合、米国の景気減速懸念でFRBの年内の追加利上げ観測が一段と後退する可能性は十分考えられます。また、本日の緊急国連安保理で新たな経済制裁決議が採択された場合、北朝鮮が軍事的な対抗措置をとる可能性があります。本格的なリスク回避の巻き戻しは、慎重を期すのであれば本日の緊急国連安保理以降と考えた方がよさそうです。
1.20ドルの大台を上抜け、マーケットの中心になっていたユーロに関しては、ECB(欧州中央銀行)が今回の会合で、量的緩和策の縮小幅(現行の600億ユーロ/月から200億ユーロもしくは400億ユーロ)と延長期間(6ヶ月もしくは9ヶ月)について協議したとの関係者発言が伝わりました。しかし、ドラギ・ECB総裁が既に定例会見で量的緩和策縮小に関する詳細を10月の会合終了時に発表することを明らかにしていたため、影響は限定的となりました。この流れからも、10月までは一旦ユーロ主導の動きは小休止になったと考えられます。
本日は主要な経済指標が予定されておらず、加・8月住宅着工件数などが予定されています。本日の推奨通貨ペアとしては、緊急国連安保理で新たな火種が起こらないことが大前提ですが、ドルの買い戻しが進むことが想定されるため、豪ドル/ドル、NZドル/ドルのどちらかの通貨ペアの「売り」です。なぜ、資源国通貨の売りが推奨通貨なのかというと、ハリケーンの影響でガソリンなどエネルギー需要が一時的に低下し、国内在庫の積み上がり懸念した資源国通貨の売りが入りやすい地合いであると考えられるからです。特に、NZドル/ドルは下落トレンドを構築していることもあり、0.7300ドルをバックにした0.72ドル半ばでの「売り」に妙味がありそうです。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ確率は約37%、一回目の利上げの確率が50%を超えるのは2018年6月になっています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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