北朝鮮が実施した核実験やミサイル発射に抗議して、メキシコ政府は、金炯吉(キム・ヒョンギル)北朝鮮大使を「ぺルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、72時間以内の国外退去を命じた。核開発をめぐり大使が追放されるのは異例で、他の国追随など世界に与える影響は大きく、北朝鮮の孤立はさらに深まりそう。

ペルソナ・ノン・グラータとは、ラテン語で「好ましからざる人物」を意味する外交用語である。1961年締結された「外交関係に関するウィーン条約」第9条の中で、大使や大使館員を派遣する国に対して、受け入れ国が理由を示さず承認を拒否できると定めている。指定されれば、派遣国は当該人物を召還し、任務を中断させなければならない。

金大中拉致事件は日韓両国を震撼させた大事件

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(写真=Aleksandar Mijatovic/Shutterstock.com)

ペルソナ・ノン・グラータとして北朝鮮大使が追放されるのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が2月にマレーシアで殺害された事件の捜査を非難した姜哲(カン・チョル)駐マレーシア大使を3月に追放して以来。

北朝鮮をめぐっては先月、ペンス米副大統領が中南米諸国を訪れ、北朝鮮を孤立化させることの重要性を強調したうえで、メキシコやチリなど4か国を名指して外交・貿易関係を絶つよう呼びかけていた 。先週はスペインもマドリードに駐在する外交官の退去処分を発表しており、各国の間で外交的な圧力を強める動きが出始めている。

日本では2012年、シリア駐在の鈴木敏郎大使がアサド政権からペルソナ・ノン・グラータに指定されて帰国している。シリア内戦で市民弾圧を続けていたアサド政権に対し、日本に駐在するシリア大使に自主的な国外退去を求めた対抗措置だった。日本人外交官がペルソナ・ノン・グラータに認定されたのは初めて。

日本絡みで注目されるのは、1973年8月,韓国の金大中(キム・デジュン)氏が東京のホテルから拉致され,韓国に連れ戻された事件。この事件は,韓国公権力による明らかな日本主権侵害行為であった。その後日韓外相会議で韓国側が、情報機関KCIAが事件に深く関与していたことを認めた。韓国側が容疑者金東雲(キム・ドンウン)一等書記官を解任、日本政府は実行犯のトップとして韓国大使館の一等書記官だった金東雲に対しペルソナ・ノン・グラータを発動した。

最近の例では2016年の米大統領選でトランプ氏のキャンペーンに関連して、オバマ政権はロシアが選挙干渉を行ったとして、駐米外交官35人を国外追放している。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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