前日のマーケット動向としては、北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議が注目されていましたが、本日早朝に繊維の輸出禁止や原油・石油精製品などの輸入制限を内容とする制裁決議案を全会一致で採択しました。原油の全面的な輸入禁止や金正恩委員長の資産凍結・渡航禁止は含まれておらず、当初の予定から大きくトーンダウンした内容になりました。今回の決議により、マーケットは北朝鮮が報復措置を講じることはないとの期待感を高めており、リスク選好の動きが強まりドル円は前日高値一時109.503円(当社レート)を上抜け109.583円まで続伸する動きを見せています。

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

また、ドル円をサポートしたもう一つの材料としては、フロリダ州に上陸したハリケーン「イルマ」が熱帯性低気圧に転じたことが挙げられます。米10年国債利回りは、8日の東京時間につけた2016年11月10日以来の2.01%台から2.13%台に急上昇しました。NYダウは259ドル高となり、8月8日以来の高値の22,057ドルまで大幅続伸して引けたこともドル買い要因として考えられます。

ただ、一部では今回の国連安保理の制裁の実効性には疑問があり、北朝鮮が国際社会との対話に動くとの楽観論はほとんど存在していないのが実情です。今回の決定を不満として、さらなる挑発行為に訴えるリスクは残っているものの、株式市場の急速な買い戻しの動きを見る限り、一旦リスク回避の巻き戻しの動きが為替市場でも主導すると考えるのが妥当なのではないでしょうか。

本日は、英・8月生産者物価指数、英・8月消費者物価指数、英・8月小売物価指数などの英国の経済指標、それと米・7月JOLT労働調査が予定されています。本日の推奨通貨ペアとしては、やはりドル円の買い戦略になります。日足で7月10日を起点とし、8月31日の高値を結んだレジスタンスラインは依然として機能しているものの、反発の動きを見せており、まずはこのレジスタンスラインを試す動きになる可能性があります。本日は、110円円付近での利食いを狙う、109円台前半での押し目買い戦略に妙味がありそうです。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ確率は約42%、一回目の利上げの確率が50%を超えるのは2018年5月に変更になっています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)